トランプ米大統領は17日の国民演説で、次期連邦準備制度理事会(FRB)議長について「大幅な金利引き下げを支持する人物になる」と明言した。
現FRB議長のジェローム・パウエル氏の任期は2026年5月に終了する予定で、トランプ氏は年明け早々に後任を発表する意向を示している。
トランプ氏はパウエル議長を繰り返し批判しており、特に利下げのペースと規模を巡って対立してきた。
パウエル氏は直近3回のFOMC(連邦公開市場委員会)会合で計0.75ポイントの利下げを実施し、政策金利を現在の3.50%~3.75%の目標レンジまで引き下げたものの、トランプ氏は「少なすぎる」「遅すぎる」と不満を示している。
次期FRB議長の人選を巡っては、国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長と元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏が有力候補とされているほか、FRB理事のクリストファー・ウォーラー氏も候補に加わった。
トランプ氏は12月13日のウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、金利を1年以内に1%またはそれ以下まで引き下げるべきだと主張し、「米国は世界で最も低い金利を持つべきだ」と述べていた。
また、次期FRB議長は大統領と金利政策について協議すべきだとし、「かつては日常的に行われていた。そうあるべきだ」と述べ、FRBの独立性を巡る議論を呼んでいる。
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低金利政策が実現すれば、仮想通貨市場には追い風となる可能性がある。金利低下は借入コストを下げ、投資家のリスク選好を高めることで、ビットコインなどのリスク資産への資金流入を促す傾向がある。
また、連邦準備制度理事会(FRB)は12月1日に量的引き締め(QT)を正式に終了し、バランスシートを6.57兆ドル(約1,014兆円)で凍結した。2022年6月から約2.4兆ドル(約370兆円)を金融システムから引き揚げてきた流動性の縮小が止まったことで、市場への資金供給圧力が緩和されている。
さらに、トランプ氏は17日の演説で2026年が「史上最大の税金還付シーズン」になると発表した。
JPモルガンの分析では、平均還付額が3,743ドル(約58万円)に達し、還付を受ける納税者数が1億1000万人に上る可能性が指摘されている。
こうした還付金や減税による消費者の可処分所得の増加も、一部が仮想通貨市場に流入する可能性がある。
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