米シリコンバレー銀行(SVB)クリプト・チームのディレクター、アンソニー・ヴァサロ氏らは25日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を担保とする貸付サービスの現在の状況について紹介するレポートを発表した。
機関投資家や金融機関の参入拡大に伴い、ビットコイン・レンディング市場は成熟の兆しを見せていると指摘する。
具体的にはギャラクシーリサーチのデータを参照し、2026年第1四半期(1~3月期)におけるビットコインも含めた仮想通貨の融資取扱高は670億ドル(約11兆円)に達し、前年同期比で50%近く増加したと述べた。
要因の一つは、保有資産を売却せずに流動性を確保したいと考える長期保有者の需要であると分析。ヴァサロ氏らによると、現在5年以上ビットコインを保有し続けているウォレットは数百万に上っている。
ビットコイン全体の26%は少なくとも7年間動かされておらず、この割合は2024年の21%から増加している。こうした保有者の多くは早い段階で購入し、激しい価格変動を目の当たりにしながらも保有し続けた層だ。
レポートは、こうした中ビットコインなどを「担保化」するサービスが成長していると述べる。資産を売却することなく流動性を確保したいビットコイン保有者向けのサービスは、以前は少数のスタートアップ企業が提供するものだったが、現在ではセキュリティが強化され、大手金融機関も参加する市場へと拡大中だと述べる。
一例としては、融資プラットフォームのLednが、2026年2月にビットコインを担保とした1億8,800万ドル(約305億円)の資産担保証券(ABS)を発行しており、S&Pグローバルからビットコイン関連としては初の投資適格格付け(BBB-)を取得していることを挙げた。
Lednはビットコインを担保として受け入れ、保守的なLTV(借入比率)に基づいて米ドルを融資している。こうした現在のプラットフォームは、以前に存在した初期のプラットフォームと比較して、より強固なリスク管理を行っていることも特徴だ。
2025年にはビットコインが高値から48%下落したが、Lednは同期間中の担保付き個人向け融資において損失を一切出していない。借り手は借入額の200%に相当する額を担保として差し入れており、融資は所定のLTV値を維持しているか絶えず監視され、LTVが80%に達すると自動的に清算(担保売却)される仕組みだ。
Lednの他には、共同管理モデルを採用しているビットコイン担保融資プラットフォームUnchainedにも言及した。Unchainedは融資だけでなく、ビットコイン長期保有者向けに税務アドバイス、退職口座などのサービスも提供している。
レポートは、現在ビットコインを担保とするローンには、住宅や株式担保の場合に比べて高い金利が設定されているとも指摘した。ビットコインの価格変動の激しさや、市場でまだ競合が激しくないことが背景にあるとしている。
一方で、LednのABS(資産担保証券)のような証券化商品に惹きつけられ、より多くの機関投資家の資金がレンディング市場に流入するにつれ、競争が金利を押し下げ、一般的な証券担保ローンに近い水準へと向かうだろうとも予想した。
また、将来的にはライトニングネットワークをレンディングに活用することができれば、マージンコール、担保の差し入れ、清算といった処理をネットワーク上で即座に実行できるようになるとも展望している。
なお、本レポートを発行したSVBは2023年3月に経営破綻したが、ファースト・シチズンズ銀行が預金・融資事業の大部分を買収し、同銀の一部門として営業を続けている。