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米クラリティー法の8月前成立に暗雲 TDコーウェン、政治環境悪化を指摘

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投資銀行TDコーウェンのワシントン・リサーチ・グループ、マネージング・ディレクターのジャレット・セイバーグ氏は5月26日付のノートで、米国の仮想通貨市場構造法案「クラリティー法」をめぐる政治環境が悪化しており、8月の夏季休会前の成立は困難との見通しを示した。The Blockなどがノート内容を報道した。

クラリティー法をめぐる不透明感の高まりを受け、ビットコイン(BTC)は5月26日から27日にかけて下落し一時75,000ドルを割り込む場面もあった。米10年国債利回りが4.48〜4.57%付近、30年債利回りが5%前後の高水準で推移するなか、リスク資産から資金が流出する動きが仮想通貨市場にも波及した。

上院銀行委員会は5月15日、民主党と銀行業界の反対を押し切ってクラリティー法を可決した。

セイバーグ氏は委員会通過が合意成立を意味するのではなく、戦いの舞台が上院本会議へ移っただけだと指摘しており、「民主党がクラリティー法に賛成票を投じる環境は、一段と厳しくなっている」と述べた。

セイバーグ氏は民主党の支持を遠ざける要因として3点を挙げた。1点目は、トランプ大統領と米内国歳入庁(IRS)が和解し、17億7,600万ドル規模の「政府による不当捜査の被害者補償基金(anti-weaponization fund)」が設立されたこと、およびトランプ一家の過去の税務申告に対するIRSの監査を永久に禁じる条項が盛り込まれた点だ。セイバーグ氏は「納税者資金によるこのような基金はこれまでに前例がない」と指摘した。

2点目として、ニューヨーク・タイムズが、予測市場・仮想通貨業界が商品先物取引委員会(CFTC)に影響を及ぼすよう働きかけ、経験豊富な規制当局者が排除されたと報じたことを挙げた。CFTCのマイケル・セリグ委員長は同紙に対し、機関として重大な不正行為に注力しており特定業界への便宜は図っていないと説明しているという。

3点目は、2026年1〜3月にトランプ大統領の代理として約3,600件の株式取引が行われたことを示す政府の財産開示資料が公開されたことで、一部取引がトランプ氏による企業や政策に関する公的発言の時期と重なっていたとセイバーグ氏は指摘した。ホワイトハウスは取引にトランプ氏や家族は関与していないとしている。

セイバーグ氏は「大統領に適用される利益相反基準の条項が法案に含まれない限り、民主党が仮想通貨法案を支持することは政治的に困難だ」と述べた。

予測市場ポリマーケットでは現在、クラリティー法が2026年中に成立する確率を57%と算出しており、成立の可否は依然として五分に近い状況だ。

仮想通貨政策専門のジャーナリストであるエレノア・テレット氏は5月23日、6月1日週の上院復帰後は住宅法案、農業法案、6月12日期限のFISA更新など複数の優先案件がクラリティー法と上院本会議の審議時間を争う状況にあると報告した。

米国のメモリアルデー祝日に伴う5月25〜29日の議会休会中も、上院農業委員会と銀行委員会の法案を統合するスタッフレベルの作業は続いており、技術的な起草作業は6月1日週の審議再開に向けて進んでいるという。しかし、上院審議入りが7月にずれ込んだ場合、8月の夏季休会前に成立できるかを疑問視する声も出ている。

なお、セイバーグ氏はこれまでの分析で、今年の成立が困難になった場合は法制化が2027年以降に先送りされ、最終的な規則の発効は2029年までずれ込む可能性があると指摘している。

上院本会議での可決に必要なフィリバスター(議事妨害)回避の60票確保には少なくとも7名の民主党議員の支持が不可欠であり、共和党側が民主党の求める倫理面での修正案を拒否し続ければホワイトハウスが目標とする7月4日までの成立は極めて困難となるとしている。

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