米証券取引委員会(SEC)は5月23日、米国株に連動するトークン化資産の取引を対象とした「イノベーション免除」制度について、当初今週中とされていた発表を延期したことが明らかになった。ブルームバーグが事情を知る複数の関係者の話として報じた。
SECスタッフは既にドラフトを作成・精査していたが、直近数日間で株式取引所幹部や市場参加者との協議を実施し、その内容を踏まえて時期の見直しを進めている。
調整の主な焦点となっているのが、発行企業の同意・裏付けなしに第三者が発行できる「サードパーティ・トークン」の取り扱いだ。
SECの免除制度では、トークンを提供するプラットフォームが投資家に対し、議決権・配当といった通常の株主と同等の権利を保証することが条件となる。ただ、ブロックチェーン上では仮名性を持つウォレット間でトークンが移転するため、複数の元規制当局者が「どのように企業が技術的にその義務を履行するかは不明確だ」と指摘していると報じられた。
ブルームバーグによると、ニューヨーク大学スターン経営大学院のオースティン・キャンベル教授(仮想通貨専門家、元銀行家)は、厳格な本人確認(KYC)ポリシーを採用しないプラットフォームにトークン化証券が流通するリスクに警鐘を鳴らし、「誰がトークンを保有しているか分からない状態では配当を支払えない。北朝鮮関係者が持っているかもしれないからだ」と述べた。また、Better Marketsの政策ディレクターでバイデン政権時代のSEC元幹部を務めたアマンダ・フィッシャー氏は「企業経営者なら、この制度の含意について非常に懸念するはずだ」と語ったという。
一方、SECのヘスター・パース委員は5月22日にXへの投稿で、免除制度の範囲について「限定的な範囲にとどまる」との見解を示した。「合成証券ではなく、投資家が現在の二次市場で購入できる株式と同一の原資産をデジタル形式で表現したものの取引に限定されるものと、私は一貫して想定してきた」と説明した。
SECは既に複数の金融企業に対してトークン化証券関連の取り組みを承認しており、証券決済インフラを担う米国預託信託清算会社(DTCC)には、ブロックチェーン上で高流動性資産をトークン化する3年間の承認期間が付与された。
また、ニューヨーク証券取引所(NYSE)も24時間365日取引を可能にするトークン化株式プラットフォームの開発を進めている。