Zcash財団は19日、2026年第1四半期(Q1)の活動・財務報告書を公開した。同報告書は、ガバナンス移行期におけるネットワークの安定運用、技術開発の進捗、保守的な財務体質、そして規制面での大きな前進を示す内容となっている。
報告によると、2026年3月末時点の純流動資産総額は約3,669万ドル(約58億円)に達した。資産内訳は以下の通り。
四半期の運用経費は約81.7万ドル(月平均約27.25万ドル)と、引き続き抑制された水準を維持した。支出の主な用途は、チーム報酬を中心にエンジニアリング、研究開発、インフラ・運用関連に充てられている。
こうした支出構成や資産状況は、Uniswap財団やカルダノ財団など主要プロジェクト財団が、インセンティブや広告キャンペーンに多額の費用を投じるケースと比べると、極めて保守的で透明性が高い運営と見られる。
財団は、2023年8月から続いていた米国証券取引委員会(SEC)による同組織への調査が、「いかなる執行措置も勧告されることなく終了した」と報告。これにより、重大な規制上の懸念が解消され、今後はより明確な環境の下で開発を継続することができるとしている。
この決定は、2025年以降に見られるSECによる暗号資産(仮想通貨)関連案件の縮小傾向と一致しており、Aave、OpenSea、Robinhood、Gemini、Ondoなどに対する調査が、訴追に至ることなく終了した例として報じられている。
2026年初頭、Zcashの開発を担うElectric Coin Company(ECC)のガバナンス紛争に伴い、開発チームの大部分が離脱し、新会社設立の動きがあった。しかし、組織の移行期にあっても、Zcashネットワークではブロック生成や決済機能が維持され、ユーザー資金とプライバシーが安全に保たれたことから、分散型オープンソースプロトコルとしての強靭性を改めて示した。
ECC社の開発チーム離脱に伴い、ネットワーク接続を維持する重要サーバー(DNSシーダー)が停止するトラブルも発生したが、財団は数日以内に米欧に代替サーバーを設置。ノードが途切れることなくネットワークへ接続できる環境を迅速に整えた。
Zcashの創設者でECCの前CEOであるズーコ・ウィルコックス氏は、「Zcashネットワークはオープンソースで安全であり、この対立によって何も変わることはない。安心して使い続けることができる」と述べ、プロトコル自体への影響はないと強調していた。
財団は報告書で、ネットワークが単一の組織によって管理されていないことを改めて強調。分散化を理論上の原則にとどまらず、プロジェクトの中核的な強みとして位置づけている。
報告書では、主な技術的進展として以下を挙げた。
また、ネットワークインフラ強化に向け、不正攻撃への耐性と高速動作を特徴とするRustベースのDNSシーダー(ネットワーク接続用サーバー)も開発・発表している。


