トランプ大統領は19日、「フィンテック革新の規制枠組みへの統合」と題する大統領令に署名し、連邦準備制度理事会(FRB)に対して仮想通貨企業を含むフィンテック企業へのFRB決済口座(マスター口座)付与拡大の包括的評価を要請した。ホワイトハウスが同日、公式声明として全文を公開している。
マスター口座は米国の中核決済インフラへの直接接続を可能にする中央銀行口座で、保有企業は高額決済に使われるコア決済ネットワークへ中継銀行を介さずアクセスできる。
現行の連邦準備法では、口座の付与・拒否の権限は各連邦準備銀行が持つが、承認対象は原則として免許を持つ預金取扱機関に限られるため、仮想通貨企業は連邦銀行免許の取得によって資格を得ようとするケースが多かった。大統領令はこの構造的制約の見直しをFRBに求め、署名から120日以内に大統領へ報告書を提出するよう要請している。
こうした要請の背景には、今年3月にカンザスシティ連邦準備銀行が仮想通貨取引所クラーケンの親会社ペイワードに対し、仮想通貨企業として初となる限定目的のマスター口座を付与したことがある。クラーケンの共同CEOアルジュン・セティ氏は当時「仮想通貨インフラと国家金融レールの融合」と称賛した一方、米銀行政策研究所(BPI)はFRBが「スキニー・マスター口座」の政策枠組みを策定する前に付与が下りたとして深刻な懸念を表明していた。
FRBは2025年12月、利子付与や割引窓口借入などの機能を除いた制限版である「スキニー・マスター口座」の枠組み案を公表し、現在も最終化を進めている。4月には民主・共和両党の超党派議員が、非銀行事業者のFRB決済サービスへのアクセスを認める「PACE法案」を提出しており、仮想通貨業界団体から支持を得ているが、審議は初期段階にとどまる。
大統領令はあわせて、12の各連邦準備銀行がFRB本体から独立してマスター口座の付与・拒否を判断できる法的権限を持つかどうかの明確化も指示。独立判断が法的に認められる場合、申請企業が均一な審査基準で評価されるための規制・政策の整備状況と今後の方針も報告対象としている。
120日後に提出されるFRBの報告書が仮想通貨企業へのマスター口座付与拡大にどこまで踏み込むか、またスキニー・マスター口座の枠組み最終化と大統領令の評価作業がどう整合するかが、今後の焦点となる。


