ホワイトハウスのデジタル資産大統領顧問委員会のパトリック・ウィット事務局長は5月7日、マイアミで開催されたコンセンサス・カンファレンスで、仮想通貨市場構造法「クラリティー法案」の成立目標日を7月4日の米国独立記念日に設定していると明らかにした。ザ・ブロックなどが報じた。
ウィット氏は「7月4日を目標にしている。米国建国250周年を祝うにあたって、素晴らしい誕生日プレゼントになると思う」と述べた。同氏は上院が6月中に法案を前進させ、その後下院が自身のバージョンを可決するための時間が十分に残ると見込んでいる。下院は昨年すでに法案を可決しており、上院が可決した場合は両院間での調整が必要となる。
法案成立を阻んできた最大の障壁だったステーブルコイン利回り条項は、先週ティリス議員とアルソブルックス議員が妥協案を公表したことで大きく前進している。単なる口座残高への利回り付与を禁止し、取引活動に連動した報酬は容認する内容だ。
ただし銀行業界団体は妥協案が「不十分」と批判している。なお、上院銀行委員会の採決は早ければ来週から行われる可能性がある。
コインベースの最高法務責任者ポール・グルワル氏も同カンファレンスで「夏までにクラリティー法案が成立することに非常に自信を持っている」と述べ、法案成立への楽観的な見方を示した。グルワル氏は銀行業界に向けて「勝利を目前にして敗北をつかむな。イエスという答えを受け入れて前に進め」と促し、ステーブルコイン利回りをめぐる反対論を一蹴した。
同氏はステーブルコイン報酬による預金流出リスクという銀行側の主張についても「私が参加した数多くの会議と対話を通じて、銀行側はこの主張を裏付ける実質的な根拠を何も示せなかった。証拠はゼロだ」と批判。
また、ティリス・アルソブルックス妥協案については「コインベースにとって最も重要な機能である活動連動型報酬を守っており、実行可能な中間地点だ」と評価した。
ステーブルコイン問題が一定の決着を見た一方で、次の障壁として倫理条項が浮上している。民主党のキルステン・ジリブランド上院議員は同カンファレンスで「倫理条項が含まれなければ法案に賛成票を投じる民主党議員はいない」と明言した。議員、上級行政官、大統領、副大統領が内部者としての地位を利用して仮想通貨業界で利益を得ることを制限する条項の盛り込みを絶対条件と位置づけた。
問題の背景にはトランプ大統領とその一族の仮想通貨関連利益がある。トランプ大統領と妻のメラニア・トランプ氏は就任前にミームコインを発行し、一族はDeFi・ステーブルコインプロジェクト「ワールドリバティ・ファイナンシャル」を主導している。ブルームバーグはトランプ大統領の仮想通貨関連事業からの収益を少なくとも14億ドルと推定しており、UAE関連の投資をめぐって安全保障上の懸念も指摘されている。
これに対しウィット氏は「最近、民主党との協議は良好に進んでいる」と述べ、妥協に「楽観的」との見方を示した。
民主党側は特定の個人や特定の役職を標的にする条項は受け入れられないと一貫して主張しており、ウィット氏は「ルールは大統領にも議会の新人インターンにも等しく適用されるものでなければならない。特定の個人や役職を標的にするものは採用されない」と述べた。
ジリブランド議員は倫理条項について共和党・民主党双方の議員やホワイトハウスとも協議中だと明かした。また、不正資金対策やテロ資金対策を含む消費者保護条項の盛り込みも求めているとし、法案全体の成立には依然として複数の調整が必要な状況だと説明した。
上院農業委員会はすでに民主党の支持なしで独自の法案を可決しており、倫理条項問題は超党派合意の難しさを改めて示唆している。
今後の注視点は2点だ。倫理条項をめぐる与野党間の交渉が7月4日という目標日までに決着するかどうかという立法スケジュールの実現可能性と、上院銀行委員会が来週にも正式なマークアップを行えるかどうかという手続き上の進捗だ。ウィット氏が示した7月4日という目標を達成するには、委員会採決、上院本会議での60票確保、下院との調整という複数の段階を残り2カ月以内に完了させる必要がある。


