片山さつき財務大臣はアンソロピックの新型AIモデル「クロード・ミトス(Mythos)」のリスクに関する認識共有を目的として、4月24日に三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの幹部らと会合を開く予定だと明らかにした。ブルームバーグなどが報じた。
日銀の植田和男総裁、全国銀行協会の加藤勝彦会長、日本取引所グループの山道裕己CEOの出席も調整されており、会合は金融庁側から呼びかけたものだという。
ブルームバーグによると、片山大臣は世界的に広がるAIリスクへの懸念を認め、金融界との対話に乗り出す意欲を示した。大臣が国際社会で浮上している問題を共有したいと強調する一方、AIエンジニアの知見を持つ新興政党「チームみらい」の安野貴博党首も、政府が把握するリスク情報の積極的な提供と交換を要求。ミトスの脅威を前に、与野党や官民の枠を超えて足並みを揃え、リスク認識を一致させる動きが加速している。
ミトスは、アンソロピックが4月7日に発表した次世代AIモデルで、あらゆる主要なOSやウェブブラウザの脆弱性を識別・悪用できる極めて高い能力を持つとされる。アンソロピックのセキュリティチームは、27年前から存在していたOpenBSDのゼロデイ脆弱性や通常の自動テストでは検出不可能なビデオライブラリの欠陥をミトスが特定した事実を公表しており、サイバー攻撃への重大な悪用が懸念されることから提供先を限定している。
会合が設定された背景には、国際的な警戒の広がりがある。米国ではベッセント財務長官とパウエルFRB議長が先週、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどウォール街の幹部を財務省本部に招集し、ミトスがもたらすシステミック・リスクへの対応を協議した。。
日本でも自民党が今月20日に国家サイバーセキュリティ戦略本部などの緊急会議を開き、内閣官房や金融庁に連携した対策を求めていた。
ブルームバーグによると、三菱UFJ銀行の大沢正和頭取は先週「サイバーセキュリティーリスクは金融機関のトップリスクの一つ」と明言しており、ミトスへの警戒感は国内メガバンクにも広がっている。
アンソロピックはマイクロソフトやアップルらも参加するサイバーセキュリティ組織「プロジェクト・グラスウィング」を設立し、防御体制の構築を進めている。JPモルガン・チェースをはじめとする海外メガバンク各行も既にミトスの内密なテストを開始しているとされる。
今後の注視点は3つだ。第一に、24日の会合で金融庁と3メガ銀がミトスのような脅威的なAIモデルへの具体的な対応策としてどのような方針を打ち出すか。第二に、アンソロピックが一般公開を保留しているミトスの限定提供が金融機関へどのように拡大するかどうか。第三に、日米当局が連携してAIによるサイバーリスクへの国際的な規制枠組みの構築に向かうかどうかが、金融システムの安定性を左右する論点となる。