米デジタル資産運用大手ギャラクシー(Galaxy)のファームワイド・リサーチ責任者、アレックス・ソーン(Alex Thorn)氏は11日、イランがホルムズ海峡を通航する船舶にビットコイン( BTC )建ての通航料を求めているとの報道を受け、独自の分析レポートを公開した。
英フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)がイランの石油輸出業者組合スポークスマンの発言として報じた内容で、積載量1バレルあたり1ドル相当のBTCを、制裁による追跡・凍結を回避するために用いているとされる。
ただし、ソーン氏はこの報道に対して複数の矛盾点を指摘する。ブルームバーグの別報道ではステーブルコインや人民元での支払いが示唆されており、現地取材を行ったシトリーニ・リサーチ(Citrini Research)は「多くの船舶は各国政府による凍結資産解除で支払いを済ませている」と伝える。ブロックチェーン分析会社TRMラボ(TRM Labs)も、仮想通貨が通航料として大規模に使われている証拠はないと述べており、現時点では情報が錯綜している状況だ。
技術面でもソーン氏は疑問を呈する。イラン側スポークスマンは「数秒以内の送金でプライバシーが確保される」と説明したとされるが、通常のオンチェーンBTC取引においてこれは技術的に正確でない。
仮に高速・高プライバシーの決済を実現するとすればライトニング・ネットワーク(Lightning Network)が候補に挙がるが、タンカー1隻分の通航料は最大200万ドル規模に達する可能性があり、ライトニングの既知最大送金額である2026年1月の100万ドルを超えるケースも想定される。
こうした疑問を踏まえ、ギャラクシー・リサーチでは現在、船舶の自動識別システム(AIS)データを用いてホルムズ海峡通過船舶の積載量を推定し、通過時刻と同規模のBTCオンチェーン取引を照合する独自検証を進めている。海峡の通過船舶数は平時の1日100隻超から現在は10〜20隻程度に激減しており、個別取引の特定が比較的容易になっているとソーン氏は説明する。
ソーン氏はレポートを「ビットコインはデジタルゴールドに似てきている」との見解で締め括っている。仮想通貨による制裁回避という観点では、発行体が凍結できるステーブルコインより検閲耐性の高いBTCが有利とし、「金(ゴールド)が米国の敵にも使われるからといって金が悪いわけではない」と論じた。
北朝鮮によるハッキングを通じた窃取とは異なり、イランは経済的生存手段としてブロックチェーンを活用してきた経緯があるとして、両者の行動様式を明確に区別している。
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