マイニングサービス企業GoMiningが1月28日に発表した2025年市場レビューによると、ネットワークのハッシュレートが史上初めて1ゼタハッシュ/秒(ZH/s)を突破した一方で、マイナーの収益性は過去最低水準まで落ち込んでいる。
同レポートによれば、ネットワークは7日間平均で1ZH/s超を維持し、構造的な転換点を迎えた。この成長は、積極的なハードウェア投資と産業規模での事業拡大によるもので、マイニングは大規模なエネルギーインフラに近づいている。
一方、ハッシュプライス(ハッシュレート単位あたりの日次収入)は2025年11月に過去最安値の1ペタハッシュあたり1日35ドル前後まで落ち込んだ。
この収益圧迫の主因は、2024年4月のビットコイン( BTC )半減期によるブロック報酬の減少と、取引手数料収入の低迷にある。ブロック報酬が3.125BTCに半減後、取引手数料は2025年の大半でブロック報酬全体の1%未満にとどまった。その結果、マイナーの収益はビットコイン価格の変動に直接さらされている。
業界アナリストは、マイニングの規模拡大には敏感な側面も伴うと分析する。ハッシュレートが増加し、手数料収入が減少する中で、価格の重要性はむしろ高まり、マイナーの安定性にとって不可欠となっている。
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収益性の低下を受け、ビットコインマイニング企業の間でAIデータセンター事業への転換が急速に進んでいる。
資産運用会社CoinSharesのデータによると、2025年に上場マイニング企業は主要テクノロジー企業やクラウドサービス事業者との間で総額650億ドル規模のAI・高性能計算(HPC)契約を締結した。業界アナリストは、AI契約を確保した企業では、マイニング収益が全体の85%から2026年末には20%未満まで減少すると予測している。
一方、AIデータセンター事業は80~90%の高い営業利益率を実現できるとされ、収益の安定化につながる。1メガワットあたりの収益はマイニングの3倍、1キロワット時あたりでは最大25倍に達するという試算もある。
転換が進む背景には、マイニング企業が保有する大規模な電力契約や冷却設備といったインフラが、膨大な計算資源を必要とするAIデータセンターの要件と合致していることがある。
実際、Hut 8は70億ドル規模の15年契約を締結し、Core ScientificやCipher Miningなど複数の大手企業が部分的または全面的にAI事業への軸足移動を発表している。従来、新規データセンターの建設には送電網の認可だけで数年を要するが、マイニング施設の転用により、この期間を大幅に短縮できる利点がある。
ただし、すべてのマイニング施設がAIデータセンターに適しているわけではない。AIワークロードには高度な冷却システムやネットワークインフラ、冗長性が求められるため、設備の大幅な改修が必要となる場合もある。業界関係者は、適切な資産と専門知識を持つ企業のみが、この転換で大きな価値を生み出せると指摘している。
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