*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコイン( BTC )は24日、日本の当局が為替介入の前段階となるレートチェックに動いたとの報道を受け、一時下落して推移した。しかしその後、キューバへの石油供給遮断の検討や、ウクライナ和平交渉の難航といった地政学リスク上昇のニュースが材料視され、安全資産であるゴールドやシルバーと歩調を合わせるように反発し、一時9万ドル台を回復した。
ただしその後、前日に史上最高値に迫っていたダウ平均株価が持ち高調整の売りにより下落したことを背景に、リスク資産全体が上値の重い展開となり、ビットコインも再び8万9千ドル台まで押し戻されている。
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主要アセットクラスとの観測期間2カ月の相関を見ると、Nasdaq100は+0.45、原油は+0.51となっており、株式指数との相関がやや高まっている。
一方でゴールドとは-0.40と逆相関の関係が確認される。ただし、これらの数値が示す通り、ビットコインは主要アセットクラスと強い連動性を持つ状況ではなく、リスクオン・リスクオフの単純な枠組みから外れた「独自の値動き」を演じていると言える。
オプション市場の動向に目を向けると、トランプ大統領がグリーンランドを巡り、欧州8カ国への関税示唆を行って以降、PCR(プットコールレシオ)は高い水準で推移している(下画像黄矢印)。これは投資家のヘッジ需要が強く、弱気姿勢が継続していることが見受けられる。
投資家心理を可視化するCrypto Fear & Greed Indexを見ても、関税戦争が激化した2024年4月上旬の水準を維持しており、市場心理はほとんど改善していない。経済的リスクと軍事的リスクの双方が意識されやすい局面において、市場心理の悪化が長引いている状況と見受けられる。
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足もとの市場環境は、経済的有事(関税戦争)と国家的有事(中南米情勢やウクライナ情勢)が同時に動いている点に特徴がある。ビットコインはこの環境下で、経済的有事が強まる局面では下落し、国家的有事が意識される局面では上昇するという、二面性を帯びた値動きを見せている。
結果として、ビットコインは単一のマクロ材料に支配されるのではなく、レンジの中で上下に大きく振れる「独立した資産クラス」となっている。ただし国家的有事については、悪化の一途をたどる可能性が高いだけでなく、影響が長期間に及ぶケースが多い。このため、貴金属類も強い上昇基調を維持しており、マーケットが中長期の地政学リスクを織り込み始めている点が注目される。
当面は、経済イベント由来のショックと、地政学リスク由来のショックが交互に市場を揺らす展開が続く可能性が高い。ビットコインは「安全資産」でも「リスク資産」でも割り切れない存在として、状況に応じて評価軸が切り替わる局面が続くと見込まれる。
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