ビットコインマイニング業界に特化したコンサルティング会社BlocksBridge Consulting(BBC)は8日に発表したレポートで、2025年に同業界が決定的な構造転換の局面を迎えたと主張した。
同年、ネットワークの月間平均ハッシュレートは前年比で約34%増加したのにも関わらず、米国拠点の主要マイニング企業3社(Foundry USA、MARA Pool、Luxor)の合計シェアは5%低下した。年初時点でこれら3社は全ビットコインブロックの40%以上を採掘していたが、12月にはその合計シェアが約35%まで低下した。
また、ビットコインは10月に史上最高値を更新し、一時12万5,000ドルを超えるなど、強気相場の年であったにもかかわらず、マイニング収益性が改善することはなかった。ネットワークハッシュレートの急増がその上昇分の大半を吸収してしまったためだ。さらに、年末にかけて価格が調整局面に入ると、ハッシュ価格は1PH/s当たり40ドルを下回る歴史的低水準まで低下した。
レポートは、投資家の行動も業界の構造転換を後押ししたと指摘する。
IREN、Cipher、Applied Digital、Hut 8、Terawulfなど、最も好調だったマイニング銘柄はいずれも、ビットコイン生産量ではなく、AIやデータセンターとの関連性が評価されており、大規模なHPCコロケーション(高性能計算設備の管理・運用サービス)やクラウドサービス案件と結びついていたと説明した。
また長年、ビットコインマイニングに専念していた事業者でさえも、「エクサハッシュの増加よりも、電力容量や土地、電力網へのアクセスを重視し、事業再編を開始している」状況にあるという。
例えば、Hut 8は昨年12月、AI企業Anthropicと提携し、米国内における巨大データセンター向けインフラを開発すると発表。ビットコインマイニングから、エネルギーインフラ企業としての事業に軸足を移している。
また、主にゼロクーポンや転換社債という形で調達された資金が、マイニング機器の追加購入でなく、データセンターの建設や電力インフラ整備に充てられたことも、業界の主軸となる事業の大きな変化を示しているとレポートは付け加えた。
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米国の大手ビットコインマイニング企業が、次々に自社のデータセンターをAIやHPC向けに転用する動きが加速している。Wiredの報道によると、もともとビットコインマイニング用だった施設が、AIのデータセンターに転換される事例が増えており、過去18か月で少なくとも8社が、AIへの部分的または全面的な転換を発表した。
暗号資産(仮想通貨)、コンピューティング、エネルギー分野の投資に特化したVC、Crucible Capitalのゼネラルパートナー、メルテム・デミローズ氏は、「ビットコインマイニングがAIコンピューティングブームと現代のデータセンターの青写真を築いた」と主張。マイニング企業が「AI関連事業に乗り出す方が資本コストを大幅に下げられることに気づいた」ことで、AI・HPCインフラ提供に事業を多角化する大きな潮流を作り出した。
仮想通貨投資会社CoinSharesの調査によると、多くの企業にとってビットコインマイニングによる収益が悪化しており、利益を出せる企業はごく一部に限られている。
2027年までにAIとHPCに完全移行する予定のマイニング会社Bitfarmsのベン・ガニョンCEOは、ビットコインマイニングは依然として利益を生み出しているものの、HPCはエネルギー1単位あたりの収益性が高く、数年間予測可能な利益をもたらすため、これ以上ビットコインマイニングに投資する理由がないと述べている。
一方、トランプ米大統領の二人の息子(エリック・トランプ氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏)が設立したビットコインマイニング会社American Bitcoinは、マイニングに注力する姿勢を崩していない。
同社のマット・プルサック社長は、有利な電力料金と比較的低い運営費により、1BTCのマイニングコストを約5万ドルに抑えられており、「効率が全てだ」と強調。マイニング業界では効率の悪い企業の淘汰が進んでおり、ビットコイン向けに最適化されていない事業者は脱落しつつあると述べた。
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