米上院は12月18日、トランプ大統領が指名した仮想通貨推進派の2名の承認を採決し、マイケル・セリグ氏を商品先物取引委員会(CFTC)委員長に、トラビス・ヒル氏を連邦預金保険公社(FDIC)委員長に任命することを決定した。
採決は53対43で可決され、両氏は97名の政府職員人事を含む一括承認の一環として承認された。セリグ氏は現在、証券取引委員会(SEC)で仮想通貨関連業務を担当しており、キャロライン・ファム仮想通貨取引委員会(CFTC)代行委員長の後任となる。
両氏は宣誓就職後に正式に就任する。ファム代行委員長はセリグ氏の就任後すぐに退任し、仮想通貨決済企業ムーンペイの最高法務責任者兼最高管理責任者に就任する予定だ。
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セリグ氏は今年、SEC仮想通貨タスクフォースの首席顧問を務めてきた。同氏はSECとリップル・ラボの訴訟において、XRPなどのデジタルトークンを自動的に有価証券として扱うべきではないとの見解を示し、仮想通貨業界から支持を得ていた。
就任後は、CFTCが進めるデリバティブやスワップ取引を超えたデジタル資産の現物市場への権限拡大を主導する見通しで、同機関は既に先物取引所での仮想通貨現物取引を初めて承認するなど、規制の枠組みへの統合を進めている。
一方、ヒル氏は今年1月にFDIC暫定委員長に就任して以降、仮想通貨企業に対する「デバンキング(銀行サービスの拒否)」への反対を表明し、銀行が仮想通貨関連業務に従事する際の事前承認要件を撤廃した。
同氏は支払いや分散型金融(DeFi)の効率化に向けたトークン化を支持しており、2023年の銀行破綻を受けて導入されたブローカー預金に関する規制など、バイデン政権時代の複数の施策を撤回する方針を示している。
今回の人事により、米国の仮想通貨規制を監督する2つの主要金融機関のトップに仮想通貨推進派が配置されることとなり、業界ではより友好的な規制環境が期待されている。
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