米暗号資産(仮想通貨)運用大手のグレースケールは最新の市場レポートで、10月初旬以降のビットコイン( BTC )の約30%下落を、歴史的な観点から「平均的な調整」の範囲内と分析。「長期的な市場低迷の兆候ではなく、強気相場中の典型的な変動に過ぎない」との見解を示した。
レポートは、ビットコインは過去3〜5年の間に年率35〜75%のリターンをもたらす一方で、年3回は10%以上下落するなどボラティリティは高いと指摘。2010年以降、ビットコインは少なくとも10%規模の価格調整を約50回経験しており、そのピークから底値までの下落幅は平均すると約30%だった。
レポートによると、ビットコインの下落には、2〜3年続く「周期的な下落」と、平均25%の下落幅で2〜3カ月続く「強気相場の下落」の2つのタイプある。前者は歴史的に4年に一度発生し、後者は強気相場の期間中、年に3〜5回発生する。
今回、10月初旬からの価格下落率は32%に達したが、これは後者に近い「強気相場の調整」と考えられるとグレースケールは評価。ビットコインは、2026年に新たな高値を更新する可能性があると見ている。
半減期に基づく4年周期理論では、ビットコイン価格が3年間の上昇後は下落するとされているが、グレースケールはこの理論が誤りであり、現在の市場には当てはまらないと主張。以下の三つの根拠を挙げて説明した。
レポートによると、現在の市場では「底入れの可能性」を示す兆候も見られる一方で、需要の低迷や資金流入の減少傾向が続いている。さらに、11月下旬には長期保有の大口投資家による大量売却の可能性も示唆されており、グレースケールは底入れの確認にあたっては、ビットコイン先物の未決済建玉増加やETPへの資金流入といった指標に注意を払う必要があると指摘している。
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グレースケールは、2025年に起こった重要な変化として、規制明確化により機関投資家による投資の波が生まれた点を指摘。今後数年間、これが継続的な成長の基盤になる可能性が高いと分析している。
一方、現在の市場は不安定な状況が続いており、仮想通貨の評価額は長期的なファンダメンタルズに追いついていないが、最終的に両者は収束するとの考えを示した。
短期的には、12月10日の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ実施の有無と、2026年の政策金利に関する指針が、重要な方向性を決める要因となるとレポートは指摘。他の条件が同じであれば、実質金利の低下は米ドルの価値にとってマイナスとなるが、金(ゴールド)や一部の仮想通貨など、米ドルと競合する資産にとってはプラスになると考えられると説明した。
また、米議会でデジタル資産市場明確化法案に対する超党派の取り組みが継続していることは、仮想通貨にとって追い風となると指摘。法整備が進めば、機関投資家の参入が促され、仮想通貨市場の評価額上昇につながる可能性があるとまとめた。
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