アルゴリズム型ステーブルコインのテラUSD(UST)を提供していたテラフォーム・ラボのド・クォン創業者は11日、米連邦地方裁判所で懲役15年の判決を受けた。
Inner City Pressによると、ニューヨーク南部地裁のエンゲルマイヤー判事は量刑について法廷で次のように述べている。
また、USTが米ドルとのペッグを維持することについて、クォン氏が安全だと市場に嘘をついていたとも指摘した。イギリスの経済学者からプロジェクトについて質問があった時に「Twitterで貧困層と議論することはない」と答えたことも問題視している。
さらに、2022年には、USTのディペッグから発生した旧テラエコシステム崩壊が暗号資産(仮想通貨)市場に影響を与え、数十万人もの投資家が破産したとも続けた。
2022年には5月にテラの崩壊が発生したことで、仮想通貨業界に債務不履行の連鎖が広がり、最終的には大手仮想通貨取引所FTXも破綻している。なお、FTXには顧客資金を無断流用するなど独自の問題があり、経営体制が杜撰だったことが判明している。
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エンゲルマイヤー判事は、世界中から被害に関する315通の手紙が届いているとしてその中身も紹介。例えば、ウクライナ出身の男性は、テラエコシステム崩壊の際に20万ドル(約3,100万円)近くを失った。判事は、もしクォン氏が有罪を認めていなかったら判決はもっと重かっただろうとも述べる。
連邦検察は、クォン氏が嘘の上に築かれた金融世界を構築したと法廷で主張し、エンゲルマイヤー判事に対して、12年の懲役を求刑していた。一方、クォン氏の弁護士は、懲役刑を5年に短縮するよう求めていた。
司法取引の一環として、クォン氏は1,900万ドル(約30億円)の罰金と一部の財産を没収される予定だ。韓国出身のクォン氏は家族に会ってから3年が経ったと述べ、母国で服役したいと希望を表明。検察は、クォン氏が刑期の後半を韓国で服役することに同意した。
クォン氏は有罪を認め、次のように反省の意を表している。
USTは裏付け資産を持たず、アルゴリズムによって米ドル価値を追跡する形式の擬似ステーブルコインだった。
日本では、2023年6月の改正資金決済法によりステーブルコインが電子決済手段として法的に認められたが、アルゴリズム型のステーブルコインは除外されており、暗号資産として扱われる。
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