国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
取引所・その他サービス
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は前週に続き上値の重い展開となり、14日正午時点で、1530万円周辺で推移している。
週末に1600万円を回復した相場は、週明けの米中関税引き下げの報道を受けて1650万円を試す展開。11日には米上院が政府機関の閉鎖を解除するためのつなぎ予算案を可決させ、一時は同水準を回復した。
しかし、下院での法案採決を控え戻り売り優勢となると、ジリジリと週明けの上げ幅を吐き出していった。
また、この日はADPが発表した、10月25日までの4週間の民間企業の人員削減数が市場予想を下回り、景気後退懸念からリスクオフムードが強まり、相場は1600万円を割り込んだ。
12日には、米政府機関の閉鎖解除期待から押し目買いが入るも、割高なAI関連株のバリュエーションが懸念されるなか、米ハイテク株の下落に連れて、1560万円まで反落。翌13日には米下院がつなぎ予算を可決し、トランプ大統領が署名したが、ハイテク株の軟調地合が続いたことで、米国時間に1550万円を割り込み、ドル建てでは心理的節目の10万ドルの維持に失敗している。
史上最長の43日間となった米連邦政府機関の一部閉鎖は解除されたが、米ハイテク株の軟化によってBTCは復調に失敗している。
また、閉鎖が解除されたからといっても、経済指標の発表にはデータの集計作業が必要となることから、10月分の指標が予定通りに発表されるわけでもなく、目先では材料不足な状況が続きそうだ。
ハセット米国家経済会議委員長によると、10月に発表されるはずだった9月の雇用統計は来週にも発表される可能性があるが、10月分のデータは失業率を除く月間の雇用者数変化のみとなる見通しだ。
他方、10月のインフレ指標に関しては、ホワイトハウスはタイムリーなデータ集計ができないことから、発表されない可能性もある、としており、12月9日〜10日のFOMCまでに十分なデータが出揃うか微妙な状況だ。
FF金利先物市場では、不透明感が払拭されないなか、12月の利下げを織り込む確率は60%を切っており、BTC相場への下押し圧力にさることながら、バリュエーション懸念で軟化している米ハイテク株にとっても追い打ちを掛ける格好となっている。
翻って、ビットコインのオンチェーン上では、BTCの平均保有期間が155日以下の短期筋(Short-Term Holder、STH)の含み損割合(レシオ)が再び95%を超えた(第2図)。同指標は先週6日時点で97%を超え、週末の揺り戻しで82%まで低下していた。
目先では、相場の復調には米ハイテク株の反発を待つしかない状況と言えるが、BTCは再び売られ過ぎとも言える。
DeribitのBTCオプション市場では、直近で9万ドルと9万5000ドルストライクで建て玉(OI)が若干増加しているが、連日のように積極的にダウンサイドのオプションが物色されている様子は窺えない。
とは言え、オプションのカットオフに向けてOIの集中する価格帯に相場が引き寄せられやすいと考えれば、9万5000ドルは現実的なターゲットとなろう。
以上に鑑みれば、BTCは下値余地を残していると言えるが、売り疲れによる自律反発も時間の問題と見ている。
FRBによる利下げ観測が後退しているが、民間の雇用関連指標に目を向ければ来月の利下げは可能性として十分に考えられ、延期されていた指標の発表が再開すれば、流れが変わる余地があるだろう。
関連: おすすめ国内仮想通貨取引所投資家のクチコミ比較ランキング
関連: ビットバンクプラス 公式サイト
過去のレポート 一覧