ポリマーケットでの裁定取引で年間60億円の利益発生か 研究者ら分析
スペインの情報通信分野の研究所インデア・ネットワークスのリサーチャーらは、分散型予測市場ポリマーケットにおける裁定取引について分析する論文を発表した。
2024年4月から2025年4月までの1年間のデータを調査し、ミスプライシングにより、トレーダーらは1年間で4,000万ドル(約59億円)のリスクフリーな利益を得ていると述べる。
ポリマーケットは、利用者がステーブルコインUSDCを使用してイベントの結果に賭けることができるプラットフォームだ。最近では、ドナルド・トランプ氏が昨年再選した米大統領選の結果や、FRBの利下げ予測をめぐる賭けで利用者が増えたことが知られる。
ポリマーケット上の各市場では、すべての関連する結果の合計価格(確率)は1ドルで、あらゆる結果の確率が1であるように設計されている。
たとえば二つの選択肢があった場合、「候補Aが勝つ」という票が1株あたり0.6ドルであれば「候補Bが勝つ」の方は0.4ドルで、合計は1ドルとなる格好だ。
しかし、このような設計にもかかわらず、価格設定が誤っているケースが見られる。
たとえば、選択肢Aが0.5ドルで選択肢Bが0.45ドルなら、合計が0.95となり、両方の株を買えば、1ドルで清算された時に、必ず利益が出ることになる。(候補Aが勝って、A株式が1ドル、B株式が0ドルで清算されることを前提)
その他にも、たとえば「トランプ氏が大統領選に勝利」という市場が、「共和党が大統領選に勝利」という市場と関連しているが、オッズが大きく異なる可能性がある。こうした契約の組み合わせを売買することで、結果がどちらに転んでも利益を確保できる。
リサーチャーらは、高度な知識を持つトレーダーが、こうした不一致を裁定取引として利用することを可能にしているかもしれないと指摘した。実際に、このような方法ですでに4,000万ドル以上の利益が引き出されていると推定している。
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リサーチャーらによると、ポリマーケットには測定可能なミスプライシングが見られる市場が7,000以上存在し、その多くは流動性が高く、注目度の高い契約に分布していた。
裁定取引は、こうしたトレーダーが利益を得る一方、価格を正常化させるのにも役立っている。ただ、分散型市場はある出来事の結果を集合的に予想できるものだとされているが、そこに現れた数字が、必ずしも純粋な確率予想を表しているとは限らないことが示された。
ポリマーケットは、これまで米国ユーザーには提供されていなかったが、米商品先物取引委員会(CFTC)から米国参入の承認を得たところだ。デリバティブ取引所QCEX買収を通じて米市場復帰を実現することになる。
今月には、最大100億(約1.5兆円)ドルの企業評価で資金調達を検討していることが分かった。なお、分散型予測市場の競合であるカルシも50億ドル評価での資金調達に近づいている。
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