「既存の枠組み活用で仮想通貨市場に迅速対応を」米CFTC代理委員長が提唱|WebX2025
大型Web3カンファレンス「WebX」では26日、米商品先物取引委員会(CFTC)のキャロライン・ファム代理委員長とCoinDeskのベンジャミン・シラー編集長が、「規制の再構築:アメリカの新デジタル資産規制枠組み」をテーマに対談を行った。
「WebX」は国内最大手のWeb3メディア「CoinPost」を運営する株式会社CoinPostが企画し、一般社団法人WebX実行委員会が主催するWeb3カンファレンスで、今年は8月25日と26日に「ザ・プリンスパークタワー東京」で開催された。
シラー氏が聞き手となり、ファム氏がCFTCという当局の立場から規制作成にどのように携わっているかを語った。
ファム氏は、トランプ政権誕生により、仮想通貨イノベーションを後押しする道が開かれたとしており、特に「ジーニアス法案」について解説した。
ステーブルコインの全国的な規制フレームワークを設立する「ジーニアス法」では、ステーブルコインが銀行発行および非銀行発行のものに分類され、州レベルまたは連邦レベルで認可を受ける。これは、既存の銀行・決済制度「デュアルバンキングシステム」に似ており理にかなっていると述べた。
また、ステーブルコインは決済や担保管理トークンに使用できるベアラー証券のデジタル版を作り出すことが興味深いと続ける。なお、ベアラー証券とは証券に特定の所有者の名前が記載されておらず、その証券を持つ人(持参人)に権利が与えられる証券のことだ。
ファム氏は、仮想通貨を規制するためには米商品先物取引委員会(CFTC)と米証券取引委員会(SEC)の既存の権限で対処可能だとも話す。最初から新たな規則を作り上げるとなると施行が何年も先になる恐れがあるが、既存システムの解釈により、迅速に対応できると強調した。
このことを探るためにも、CFTCは「クリプト・スプリント」を、SECは「プロジェクト・クリプト」を立ち上げているとする。
仮想通貨のためにまったく新しい登録カテゴリーを作り出す必要はないとする形だ。たとえばSECは、非証券資産を証券取引所やブローカーディーラーで取引可能にすることを議論している。
また、ファム氏はCFTCにおいて、既存の先物取引所でリテール向けの現物仮想通貨取引を可能にする権限がすでにあると唱えてきた。
関連する動きとしてはファム氏がWebXに登壇した後の今月2日、SECとCFTCは各当局が管轄する取引所での仮想通貨商品取引を禁止していないとの共同声明を発表している。
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ファム氏は、証券とはみなされない仮想通貨についても証券取引所などで取引できるようにすれば柔軟性が生まれ、資本とマージンの効率が大幅に向上すると話した。
たとえば、(同じプラットフォームで)ビットコインETFを保有し、同時に現物ビットコインも取引できれば、より効率的にヘッジし、ポジションを相殺できるなど、多くのメリットがあると提唱している。
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ファム氏は、すでに存在している登録カテゴリーには国際的な取り扱いも設定されていることに注目を促した。たとえば、米国以外の企業が米国市場にアクセスできるようにしたり、米国企業が海外市場にアクセスできるようにするための枠組みが存在していると述べる。
仮想通貨は本質的に国境のない市場であるとして、こうしたすでにある枠組みを活かすことの利点を強調する格好だ。
ファム氏は、SECとCFTCは仮想通貨業界や専門家と円卓会議などを開催して協議を進めており、6か月後にはその成果が得られるのではないかとも話した。
ファム氏によると、CFTCはイノベーション促進と共に不正行為の取り締まりも強化している。今年の初めに法的執行で取り組みを始めており、詐欺、不正取引行為、市場操作に焦点を当てていると述べる。
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WebXとは、日本最大の暗号資産・Web3専門メディア「CoinPost(コインポスト)」が主催・運営する、アジア最大級のWeb3・ブロックチェーンの国際カンファレンスです。
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