米上院議員、仮想通貨市場明確化法案の年内成立を目指す
暗号資産(仮想通貨)推進派のシンシア・ルミス米上院議員(ワイオミング州・共和党)は20日、ワイオミング・ブロックチェーン・シンポジウムで、デジタル資産市場明確化法案(クラリティ法案)が11月末には、トランプ大統領に提出される予定だと述べた。
ルミス議員は、米大手取引所Krakenのアルジュン・セティ共同CEOとの対談で、7月に下院で可決・承認され上院に審議が委ねられているクラリティ法案について、今後、成立までに予測される具体的なスケジュールを示した。
ルミス議員は、夏季休暇明けの9月3日以降、上院銀行委員会が法案の修正作業を開始し、9月末までには同委員会で承認されると予測している。
その後、上院農業委員会が、10月中に商品先物取引委員会(CFTC)の監督に関する部分を検討・承認すると、上院本会議での法案審議に進む。法案は本会議を通過後、トランプ大統領の署名を得るためホワイトハウスへと送られるが、その時期としてルミス議員は、年内、早ければ11月末の感謝祭前になるとの見方を示した。
クラリティ法案は、仮想通貨の市場構造を定義し、仮想通貨が「証券」か「商品」かの分類基準を明確に定めることを目指す法案。それぞれの規制当局である証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の権限を明確にし、仮想通貨業界に包括的な規制枠組みを提供する。
同法案は、共和党主導の「クリプトウィーク」の一環として強く推進され、78名の民主党議員が賛成票を投じる超党派支持を獲得し、7月17日に下院を通過した。
上院銀行委員会は7月22日、クラリティ法の討議草案を発表した。この草案はティム・スコット委員長やルミス議員を含む4人の議員が主導している。この草案で注目を集めたのは、新たに導入された「補助資産」(ancillary asset)というトークンの区分で、証券には該当しないと明示されている。
しかし、ルミス議員はシンポジウムで、年内にクラリティ法案の可決を目指すため、この草案ではなく、すでに超党派の支持を得て可決された下院案を「基本法案」として採用する戦略に転換したことを明らかにした。
ルミス議員によると、「上院は手続き的に混乱している」ため、下院案とは異なる上院草案を推進するよりも、下院案を採用する方が法案成立の可能性を高められると見込んでいるようだ。
関連: 米国上院銀行委員会、仮想通貨規制「CLARITY法」の草案を発表
ルミス議員の対談に先立ち、19日にシンポジウムに登壇した上院銀行委員会のティム・スコット委員長は、クラリティ法案を支持する民主党議員は、すでに可決・成立したジーニアス法(ステーブルコイン規制)に賛成票を投じた議員より少なくなる可能性があると述べた。
米国の仮想通貨規制の明確化のために重要な役割を果たすクラリティ法案だが、最終的にこの法案を支持する民主党議員の数は大幅に減少する可能性があるとスコット議員は指摘。その背景として、ある民主党議員が、上院におけるクラリティ法案議論の障害となっていると主張した。
その人物とは、仮想通貨業界に批判的なエリザベス・ウォーレン上院議員で、他の民主党議員に圧力をかけていると、スコット議員は名指しで批判した。
しかし、スコット議員はウォーレン議員の反対を乗り越えるため、銀行委員会外の民主党議員の協力を得る戦略を進め、賛成票を検討している銀行委員会の民主党議員たちにサポートを提供したいと考えている。最終的には、12人から18人の民主党議員の賛同を得られる可能性があると、同氏は見ている。
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上院銀行委員会の民主党トップであるウォーレン議員は、共和党が主導するクラリティ法案について「仮想通貨ロビーの望みを叶える業界への新たな援助」を実現するかのような「緩い規制づくり」を目指すものだと主張し、強い反対の立場をとる。
「この法案は、伝統的な証券がSECの権限を逃れるためのスーパーハイウェイとなり、ほぼ1世紀にわたって資本市場を統制してきた規制枠組みを根本的に覆すことになるだろう」と、同議員は痛烈に批判している。
MSNBCのインタビューでは、仮想通貨規制は必要だが、「仮想通貨業界によって作成された規制は、腐敗を過度に助長する」と指摘。「わが国には、腐敗と選出された公務員による腐敗取引の能力を制限し、同時に仮想通貨で経済を破綻させる能力も制限する規制が必要だ。」と主張し、厳格な規制を求めている。
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