イーサリアムトレジャリー企業が市場に与える影響は? クリプトクアント分析
ブロックチェーン分析企業クリプトクアントは20日、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム( ETH )を財務戦略として蓄積する企業についての分析を発表した。
ビットコイン(BTC)から始まった仮想通貨トレジャリー(財務)戦略がイーサリアムにも広がっており、すでに16社以上が採用していると指摘。合計保有量は2,455,943 ETH、時価で約110億ドル(約1.6兆円)に達したと続けている。
この状況のメリットとしては、大量のイーサリアムが市場には出回らない状態になり、買い圧力に貢献することを挙げた。
一方でデメリットとしては、イーサリアムには供給上限がないことから、仮にネットワークの活動が鈍化し、バーン(焼却)されるETHが減少すると、供給量が急速に増加する可能性を指摘している。
クリプトクアントは、トレジャリー企業が保有するイーサリアムが動かされなければバーンされる分も減るとみている模様だ。
次に、問題点についても意見した。まず、現在のところイーサリアムの保有は少数の企業に集中しているため、1社か2社が売却を決定すれば、市場に影響を与える可能性があると述べる。
なお今の状況として、ビットマインがイーサリアム全体の5%を掌握することを目指しているが、現時点では0.7%分しか取得していない。次に保有量の大きいシャープリンクも0.6%にとどまっている。
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クリプトクアントはその他、現在イーサリアムのレバレッジが積み上がっているとも指摘した。先物の未決済建玉が約380億ドル(約5.6兆円)に達しており、価格の大幅な変動があれば、強制清算の波を引き起こす可能性があると述べる。
例えば8月14日には、20億ドル(約2,950億円)の建玉が消失しただけで、2億9,000万ドル(約430億円)の清算が発生し、価格は7%以上下落していた。
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シャープリンクは15日に第2四半期(4〜6月)の決算を発表し、イーサリアム・トレジャリー戦略についても説明している。
取得したイーサリアムをステーキング、リステーキング、さらにDeFi(分散型金融)などで活用することで、ETHの利回りを生み出していきたいと述べた。DeFiで活用した場合は、ネットワーク活動が生まれるため一部のETHがバーンされる。
ストラテジー社などビットコインを蓄積する企業に比較して、資産運用による追加の利益創出機会が得られるとも指摘した。
なお、会計基準の影響により、シャープリンクは流動性ステーキングETH保有に関する非現金減損を計上。純損失は1億300万ドル(約152億円)となった。
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