パクソス、ステーブルコインUSDGを欧州全域でローンチ サークルとの競争激化
米暗号資産(仮想通貨)関連企業パクソスは1日、米ドル建てのステーブルコイン「グローバル・ドル(USDG)」を欧州(EU)全域のユーザー向けに発行したと発表した。これにより、USDGは30か国で利用可能となり、EUの仮想通貨規制「MiCA」にも準拠している。
USDGはGlobal Dollar Network(GDN)の支援を受けており、これはアンカレッジデジタル、ギャラクシーデジタル、クラーケン、ロビンフッド、パクソスなどが参加するオープンで分散型のネットワークによって支えられている。
パクソスのウォルター・ヘッサート戦略責任者は、次のようにコメントしている。
パクソスは、決済大手PayPal(ペイパル)のステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」の発行も担当しており、また、利回り付きステーブルコイン「Lift dollar(USDL)」や「Pax Dollar(USDP)」も発行している。
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CoinMarketCapによると、USDGの時価総額は現在3.2億ドル(約460億円)となっており、ステーブルコインの時価総額ランキングでは15位に位置する。
しかし、ステーブルコイン市場は、テザー社のUSDT(時価総額1,580億ドル)とサークル社のUSDC(時価総額620億ドル)が90%を占めており、競争が激しい。特に、米国ではステーブルコイン規制法案の審議が進行中であり、規制の明確化が進む中で新たに参入を検討する企業が増えている。
例えば、メタ社はステーブルコインを活用した国際送金サービスの可能性を模索しており、これにより新たな動きが期待されている。
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米国上院は6月、ステーブルコイン法案「GENIUS」を可決し、これを受けてトランプ大統領は下院に対して法案を迅速に通過させ、大統領の署名を得るよう求めている。
米連邦認可仮想通貨銀行であるアンカレッジ・デジタルは、先週発表したレポートで機関投資家向けにUSDCなど一部ライバル発行のステーブルコイン対応の段階的廃止を発表した。この発表に関しては、アンカレッジが評価したステーブルコイン安全性マトリックスレポートにおいて、USDCが長期的な回復力の基準を満たさないとされている。
レポートは、USDCが米国内でマネー・トランスミッター・ライセンスを取得して運営されているものの、実質的な健全性監督は受けていないと評価している。また、USDCのMiCAライセンスがEUでの高い健全性監督を提供するものの、EUと米国の提供体制が連携しているか、また主要な発行者がEUに移行したかどうかは不明確だとしている。
一方、アンカレッジの評価に対しては業界内で異論もあり、特にUSDGコンソーシアムの一員であるアンカレッジが商業的利益を開示していないことが指摘されている。アンカレッジのレポートは自己利益を追求した内容だとの批判もあり、これが業界に与える影響については引き続き議論が行われている。
ステーブルコイン市場の今後については、規制の整備と共に新たな動きが期待されており、企業の参入や競争が激化する中で、どのステーブルコインが市場を支配するかが注目される。特に、規制が明確化されることで、より多くの企業がステーブルコイン市場に参入し、競争が加速する可能性が高い。
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