ビットコイン過去最高値に接近、上場企業の大量保有も相次ぎ供給不足のシグナルも
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン( BTC )が上昇。前日比+3.76%の1BTC=109,700ドルとなり、一時11万ドル台を回復した。
5月22日に記録した過去最高値1BTC=112,000ドルが迫っている。
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騰落率では、時価総額2位のイーサリアムが前日比8%超の2,692ドルまで上昇した。Michaël van de Poppe氏の分析によれば、ブレイクアウトが近づいている可能性がある。
ETHは現在2,400ドル以下で底値を形成しており、この水準が新たなサポートラインとして確立されつつある。その上で、1ETH=2,700-2,750ドルを重要なレジスタンスと指摘している。この水準を突破すれば、ビットコインが106,500ドルで経験したような大幅上昇が期待できるとの見方を示した。
同氏のチャート分析では、ETHが調整期間を経て上昇トレンドへの転換点に差し掛かっていることが示されている。出来高の推移も健全で、投資家の長期的な信頼が維持されていると言えそうだ。
CryptoQuantのデータによると、2024年7月から2025年6月までの約1年間で、中央集権型取引所から55万BTCが流出し、投資家の長期保有志向が鮮明になっている。
この動きは、ビットコインが投機的資産から価値保存手段のデジタル・ゴールドへと進化しつつあることを示す指標として市場の注目を集めている。
暗号資産(仮想通貨)取引所のビットコイン保有量の変化はさらに劇的だ。2024年7月時点で約155万BTCだった中央集権型取引所の保有量は、現在約100万BTCまで減少している。この35%の大幅減少は、市場流動性の逼迫を如実に物語っている。
流動性低下は各種データからも確認できる。OTC(店頭取引デスク)の在庫は1ヶ月で23万6,000BTCから12万3,500BTCへと48%減少し、米最大手取引所Coinbase Primeの取引可能BTCですら6万3,535BTCまで縮小している。
こうした流れの大部分は、長期保管用のデジタルウォレットやコールドストレージソリューションで確認されており、米政府の後押しや米SEC(証券取引委員会)の規制緩和期待を背景に、大口および機関投資家の意識が長期保有志向へとシフトしていることがうかがえる。
関税政策を巡る各国の貿易摩擦や金融政策といったマクロ経済依存は依然として絶大であるものの、取引所の供給量が減少することで販売可能なコインが少なくなり、新規購入者からの需要増加と相まって価格上昇圧力が拡大しているとの見方も根強い。
上場企業によるビットコイン保有も急速に拡大しており、これも今後の供給不足に拍車をかける可能性がある。
現在、企業財務としてすでに約340万BTCが保有されていると見られるが、これにはマイナー(採掘業者)や政府が売却しなくなった分も含まれている。1,000BTC以上を保有する上場企業は26社、10,000BTC以上を保有する企業は7社に達した。
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一方で、オンチェーンデータによると、これらの数値を上回るクジラ(大口投資家)ウォレットが約2,000ほど存在することが示唆されている。
ビットコインの供給が逼迫し、投資家の確信が高まるにつれて、長期保有へのインセンティブは高まっている。
ただし、流動性の低下により、少量の取引でも大きな価格変動が生じやすい環境となっている点には注意が必要だ。この供給逼迫局面が継続する限り、長期保有戦略の妥当性は高まっているが、短期的なボラティリティ(価格変動性)リスクも考慮した投資判断が一層求められそうだ。
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