イーサリアム( ETH )の開発者チームが24日、将来の量子コンピューターによる署名解読リスクに備えた新しいデポジット契約案をGitHub上のEIPリポジトリへ提出した。提案は仮番号EIP9999として登録され、可変長の公開鍵と認証情報を扱える設計になっている。
現行のデポジット契約はBLS12-381方式の公開鍵・署名サイズに固定されており、より大きなポスト量子鍵を扱えない。提案者には耐量子(ポスト量子)関連のEIPに携わってきたケバンドレイ・ウェダーバーン(Kevaundray Wedderburn)氏らが名を連ねる。
新しい契約はデポジットのたびに「スキーム」と呼ぶ識別子を指定する仕組みを採る。スキーム0は既存のBLS署名を表し、それ以外の値は将来の暗号方式に割り当てる余地として予約される。データはEIP-7685の仕組みに基づき、コンセンサス層へリクエストとして渡される。
既存契約が使うマークルツリー方式は廃止する。EIP-6110で導入済みのログベースの検証手法を踏襲し、旧方式で必要だった検証用ハッシュ値のフィールドも不要になる。契約の預け入れ関数は「スキーム」「公開鍵」「引き出し用資格情報」「資格メタデータ」の4つの引数を取る。
提案では契約の状態を3段階のモードで管理する。導入直後は預け入れを拒否する無効状態から始まり、稼働開始後は既存のBLS方式を受け入れる状態に切り替わる。最終段階でBLSの新規受付を止める廃止状態に移行し、モードは一方向にしか進めない。
廃止状態への切り替えは取り消せない設計で、量子計算機の実用化後にBLS方式の新規登録が再び有効化される事態を防ぐ狙いがある。活性化や廃止の具体的な日時はいずれも未定で、EIP-6110やEIP-7251など複数の既存提案への依存も明記されている。
この提案はドラフト段階で、コア開発者による正式なレビューや採用の合意には至っていない。仮番号9999はEIP登録前の一時的な表記であり、正式なEIP番号や実装スケジュールは確定していない。