国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は急伸し、21日正午時点で1200万円を試す展開となっている。
週前半は世界的な長期金利の上昇のほか、米財務省がジーニアス法案のパブリックコメント募集を開始したことを好感し、相場は1000万円周辺から小幅ながら上昇し、1030万円台に乗せた。
週央の海外時間には、ベッセント米財務長官が長期国債の買い戻しオペの規模を、従来の20億ドルから最低40億ドルに引き上げると発表。すると、米政府の財政懸念を背景にBTCは上値を追う展開に転じ、ショートスクイーズを伴って1100万円周辺まで一気に浮上した。
ベッセント氏の発言を受けて、米長期金利は一時的に急低下していたが、翌20日には反発。この日、同氏は国債の買い戻し規模が40億ドル以上になる可能性もあるとの認識を示したが、市場の財政懸念は払拭されず、BTCは1100万円から1150万円周辺まで上値を伸ばした。
21日東京時間も堅調な推移を維持し、5月以来、節目の1200万円を試す展開となっている。
今週の金融市場にとって最大のサプライズとなったのは、ベッセント米財務長官による長期国債の買い戻し規模引き上げだった。表向きには短期国債の増発を原資として長期国債を買い戻すデュレーション調整となるが、その背景には膨れ上がる財政赤字や利払い費への懸念があると言えよう。特に、17日に米30年債利回りが19年ぶりの高水準に浮上した僅か数日後にこうした方針が示された点は重要だ。
市場にとって今回の発表は、米財務省が長期金利の上昇に対して一定の警戒感を持ち始めたとのメッセージにもなり得る。裏を返せば、これ以上の金利上昇は米国の財政運営にとって負担が大きいとの見方にもつながり、結果として米政府の財政状況そのものに市場の関心が向かう切っ掛けとなったと考えられる。
こうした環境はBTCにとって追い風と言えよう。BTCは特定の国家や中央銀行に依存しない無国籍通貨としての側面を持ち、これまでもソブリンリスクが意識される局面では選好される傾向があった。今週、米株が軟調に推移する場面でもBTCが独歩高となり、6月の下げ幅を奪回した背景には、こうした米国の財政懸念を巡る資金の逃避先としてBTCが意識されたこともあるとみられる。
一方、短期的な相場の過熱には注意したい。ドル建てBTC相場は今週7万5000ドルにタッチし、6月の下げ幅をほぼ奪回したほか、日足の相対力指数(RSI)は80を上回っている。短期間で相場が急伸したことを踏まえれば、テクニカル的にはいつ利益確定売りが入ってもおかしくない状況と言えよう。
また、来週は米国の四半期GDP成長率や7月の個人消費支出(PCE)デフレーターなど、重要な経済指標の発表も控えている。財政懸念という新たなテーマがBTC相場を支えているとは言え、景気の底堅さやインフレ再加速が確認されれば、短期的な利益確定売りの切っ掛けとなる可能性もあろう。
総じて、米国の財政懸念が意識される状況は、無国籍通貨としてのBTCには中期的な支援材料となる可能性がある。一方、足元では7万5000ドルまで急伸し、テクニカル的な過熱感も強まっていることから、来週は一段高を追うよりも、まずは利益確定売りをこなしつつ過熱感を冷ます展開に警戒しておきたい。調整を経ても米財政を巡る懸念が継続し、BTCが高値圏を維持できれば、その後の上値余地も改めて意識されよう。