仮想通貨政策専門記者のエレノア・テレット氏は13日、今週はインフレ指標の発表やFRB(米連邦準備制度)議長の議会証言に加え、米クラリティー法の動向が注目されると投稿した。
また、ザ・ブロックが法案関係者2人に確認したところによると、上院銀行委員会と農業委員会の草案を統合した最新版の公開は今週中にも実現する可能性があるという。
ただし、テレット氏によると、業界関係者からは主要条項が依然「積極的に交渉されている」段階にあり、倫理条項については「合意に至っていない」との情報も寄せられたとしている。多くの関係者が期待する7月20日の週(来週)の本会議採決については、現時点で実施時期が不透明な状況である。
クラリティー法は仮想通貨に対する包括的な規制枠組みを構築することを目的とした法案で、2025年7月に下院で可決された。上院では銀行委員会が2026年5月に賛成15・反対9で委員会通過させ、農業委員会も別途独自の草案を作成した。現在、法制局がこれら2つの草案を統合する作業を進めている。ザ・ブロックが伝えたところでは、民主党の要求を受けて消費者保護に関する70ページ超の条項が新たに追加されたという。
上院が本会議で法案を審議できる期間は7月中旬から8月第1週までに限られており、8月7日に夏季休会に入る。仮に上院が可決した場合でも、下院の承認が別途必要で、下院は7月末に夏季休会を控えている。
仮想通貨取引所コインベースの最高政策責任者(CPO)ファリャル・シルザード氏は11日、ウォーレン民主党上院議員が示した安全保障上の懸念を退けた。シルザード氏はXへの投稿で、不明確な規制こそが悪意ある行為者に規制の外で活動する余地を与えると主張した。
シルザード氏は、クラリティー法が仮想通貨のブローカー・ディーラー・取引所に対し、銀行秘密法上の義務(マネーロンダリング対策プログラム、顧客審査、疑わしい取引報告、制裁遵守)を課す設計だと説明した。また、法執行機関の要請に応じてプラットフォームが不審な送金を一時停止できる条項も設けられていると指摘し、「これは仮想通貨への免除ではない」と述べ、同法案を厳格なセキュリティー義務と位置付けた。
一方、ウォーレン議員は元国家安全保障会議イラン担当局長リチャード・ネフュー氏の論説を引用し、「現行草案のクラリティー法は制裁回避のための切符だ」と警告した。ネフュー氏は、一部の分散型金融参加者が銀行秘密法の義務範囲外に置かれる可能性があり、執行がより困難になると分析した。
法案における対立の焦点は、どの仮想通貨事業者が登録義務・取引監視義務を負うかという点にある。ウォーレン議員らは、非カストディ型サービスの一部に適用される適用除外が、外国政府・犯罪集団・制裁対象者に利用されうる抜け穴を生む恐れがあると主張した。
一方で、支持派は、既存の制裁法が引き続き有効であることに加え、同法案が財務省とフィンセン(金融犯罪取締ネットワーク)に新たな権限を付与すると反論した。
上院銀行委員会の法案説明資料によると、クラリティー法は中央集権型デジタル資産仲介業者に対して金融犯罪対策・反テロ資金調達規制を適用するほか、「スペシャル・メジャー6」と呼ばれる財務省の新権限も創設するとされている。この権限により、デジタル資産のマネーロンダリングリスクが高い外国の法域・金融機関・取引類型を対象指定できるという。フィンセンへの予算増額、仮想通貨キオスク端末の規制、ミキサーや違法金融に関する調査義務なども盛り込まれている。
交渉中の主な未解決事項は、倫理条項(大統領・副大統領・議員らのデジタル資産からの収益制限)、ステーブルコイン報酬、分散型金融の取り扱い、ソフトウェア開発者の法的保護だ。ワイデン民主党上院議員は同法の共同提案者として、自ら発議した非カストディ型開発者向けの保護条項を最終法案に残すよう上院指導部に書簡を送った。クラリティー法の採決は予算関連法案や国防権限法(NDAA)とも本会議の日程を競う形となっており、NDAAの進捗が他法案の採決見通しを左右するとの見方も出ている。
ブロックチェーン・アソシエーション最高政策責任者リンジー・フレイザー氏は「数カ月に及ぶ超党派交渉が強固な土台を作ったため、上院議員が今週戻った際には、残る技術的な課題の解決とクラリティー法の本会議採決に向けた取り組みに集中すべきだ」と述べた。
さらに、今週18日(土曜日)には下院金融サービス委員会のデジタル資産小委員会がニューヨークで公聴会を開催する予定で、下院金融サービス委員会委員長フレンチ・ヒル共和党議員は仮想通貨市場規制の枠組みの必要性を示す場と位置付けている。

