暗号資産(仮想通貨)マーケットメイカーのウィンターミュートは22日、週間市場レポートを発表した。先週末の下落やその背景を分析し、資金流入が構造的に改善しない限り、レンジ相場の上抜けは難しいとしている。
先週末、米イラン間の合意が一時的に頓挫した際、ビットコイン(BTC)は3.8%安、イーサリアム(ETH)は1.2%安、その他のアルトコインはおおむね横ばい(+0.3%)で取引を終えた。
ビットコインは先週初めには、米イラン合意への期待が維持される中で6万7,000ドル近辺の週間高値を付けたが、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な姿勢を受けて失速し、週末の合意頓挫でさらに下落した格好だ。
具体的には19日にイスラエルが南レバノンを攻撃、それを受け米国とイランの署名式が延期したことが週末に市場下落の要因の一つとなった。
なお、21日にはスイスで米国とイランの代表団による戦闘終結のための直接協議が開始。仲介したパキスタンとカタールは22日、「前向きかつ建設的な議論が行われた」としている。
ウィンターミュートは、ビットコインは先週、原油を除けば、あらゆるリスク資産の中で最もパフォーマンスが悪かったことになると指摘した。
これは米イラン関連で市場心理が悪化した時は週末で、株式市場が開いていなかったことも影響していたと続ける。取引が可能だった資産のうち、最も「市場感応度」が高い仮想通貨セクターが下落するのは予期できたと述べた。
週末の動きにより、ビットコインは約6億ドル相当のロング(買い)ポジションが強制清算された一方、ショート(売り)の清算は9,000万ドル未満にとどまった。
ウィンターミュートは、価格上昇局面でレバレッジが積み上がり、ニュースが出た途端に一掃されるというパターンは、今月を通じて見られるものだと述べる。買い・売りいずれも確信に乏しい状態だと続けた。
一方、ビットコイン・トレジャリー企業最大手ストラテジーに関する状況は改善している。同社は32 BTCを売却した後、8日から14日にかけて平均約6万3,000ドルで1,587 BTC(約160億円相当)を買い増した。
ウィンターミュートは、これにより市場の懸念材料の一つは取り除かれたと述べる。ただし、同社の購入ペースは以前より鈍化しており、市場を支えていた現物ETF(上場投資信託)とストラテジーの買いの双方が、ビットコイン需要全体への寄与を減らしていることには変わりないと続けた。
その上で、現在の市場には新たな買い手は流入していないが、ポジションが軽くなりレバレッジが整理されたことで、水面下で安定化に向かっている状態だとの見解を示している。
今後については、25日に発表されるPCE(個人消費支出)デフレーターが予想を下回る、あるいは米イラン関連で進展が見られるといったことが、反発の引き金になり得ると予想した。
ただし、反発が起こっても、あくまで短期的なトレードの域を出ず、必ずしも大底を打ったことを意味するわけではないとも強調。最も重要な指標である資金フローが依然として回復しておらず、その状況が構造的に改善しない限り、市場はレンジ内での推移にとどまる可能性が高いとしている。


