暗号資産(仮想通貨)分析企業のクリプトクアントは10日、週間市場レポートを発表。ビットコイン(BTC)はバリューゾーン(割安圏)に入ってきたものの、需要の縮小が続いているため底値はまだ確定していないと分析した。
ビットコインは一時、59,000ドルまで下落。これは実現価格(Realized Price)の53,600ドルをわずか9%上回る水準だと指摘する。実現価格は、過去のサイクルにおいて弱気相場の底値を示してきた水準である。
実現価格とは、市場参加者全体の平均取得コストを現す指標だ。過去の弱気相場では、ビットコイン価格は実現価格付近で底打ちしてきた。
クリプトクアントは、このため、純粋にバリュエーション(評価)という観点から見ると、ビットコインは構造的な下値支持線(長期的な底値圏)に近づいている可能性があるとの見解を述べた。
しかし一方で、需要状況は依然として不利なままだとも指摘する。ビットコインの総需要(先物と現物)は先週、-652,000BTCまで急落し、2022年1月以来最大の落ち込みとなった。長期現物需要(1年間の需要増加率)もマイナスに転じ、2024年2月以来最も低い水準に達している。
投機的な永久先物需要(紫)については、59,000ドルへの価格下落がレバレッジをかけたロングポジションの清算を引き起こした。これが現物価格の急落を招いたことで現物需要も縮小した格好だ。
ビットコイン現物ETFの購入も上場開始以来最速のペースで減少しているところだ。30日間のETF需要増加率は-74,000BTCとなった。クリプトクアントは、現在のサイクルの推進力となっている米国の機関投資家の需要が、急速に純売りに転じていることを示すと述べた。
ビットコイン保有者の実現損失は、降伏水準(キャピチュレーション)には達していない。過去30日間で売り手は18万7,000BTCの損失を計上した。
これは、最近の弱気相場である2026年2月の40万BTC、そしてFTX暴落後の2022年11月の底値における120万BTCの損失と比較すると、まだ少ない水準だ。このことから、クリプトクアントは市場にはまだ意欲的な売り手が残されていることが示唆されると述べた。
さらに、強気相場への転換には建設的な需要回復が必要だが、これはまだ確認されていないと続ける。
底値を判断するには、総需要の安定、ETFへの資金流入回復、実現損失の売り崩し水準到達などのシグナルを見る必要があるとしている。
仮想通貨マーケットメーカーのウィンターミュートも9日、ビットコインの状況を分析。米国機関投資家の売却をビットコイン下落の背景の一つとして指摘した。また、FRBの近期利下げ観測の後退やスペースXのIPOなども抑制要因として挙げている。


