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暗号資産で「株・原油・未来予測」まで取引する時代へ──ビットコインの次に市場が見ているもの

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暗号資産市場というと、ビットコインやイーサリアムの値動きを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし今週のニュースを見ると、市場の関心は少しずつ変わり始めています。

原油に連動する先物、米国株のトークン化、予測市場、AIウォレット、ステーブルコイン決済。いま起きているのは、単に「新しいコインが増えている」という話ではありません。

暗号資産の技術を使って、これまで証券会社、取引所、銀行、決済会社が担ってきた金融サービスを、よりグローバルに、より24時間型に作り直そうとする動きです。

一方で、今週は米国とイランを巡る中東情勢の緊張も市場の重しとなりました。停戦延長への期待が出た一方、ホルムズ海峡周辺では軍事的な衝突も報じられ、原油価格やインフレへの警戒感が意識されました。

短期的には地政学リスクに注意が必要な相場ですが、中長期では、暗号資産が「値上がりを期待して買うもの」から、「さまざまな金融サービスを動かす仕組み」へと広がり始めている点に注目です。

マーケット

今週の市場心理は、やや慎重な状態が続いています。恐怖・強欲指数はAlternativeが25、Coinglassが26となり、投資家のムードは強気というよりも、リスクを警戒する局面にあるように感じ取れます。

背景にあるのは、やはり中東情勢です。25日には、トランプ大統領がイラン協議について「進展している」と発信し、停戦延長への期待も見られました。しかしその後、ホルムズ海峡周辺で米国・イスラエル側による攻撃や、イラン側による米軍無人機の撃墜主張が相次ぎました。

ホルムズ海峡は、世界のエネルギー供給にとって非常に重要なルートです。ここで緊張が高まると、原油価格の上昇、インフレ懸念、金利見通しの変化などを通じて、株式や暗号資産などのリスク資産にも影響が出やすくなります。つまり今週の相場は、短期的には「中東情勢」と「米金融政策」をにらみながら、慎重に動く展開だったとも言えます。

注目ニュース3つ

1. 米SEC、Nasdaqのビットコイン指数オプションを承認

米SECは、Nasdaqにおけるビットコイン指数オプションの上場を承認しました。正式な開始にはCFTCの承認も必要とされていますが、ビットコイン関連商品が、既存の金融市場にさらに入り込む動きとして注目が集まります。

ビットコインは、かつては暗号資産取引所で売買するものという印象が強い資産でした。しかし近年は、現物ETF、指数商品、オプションなど、伝統的な金融商品の形でも扱われるようになっています。

これは、個人投資家だけでなく、機関投資家や企業がビットコインへアクセスしやすくなる流れでもあります。ビットコインそのものの値動きだけでなく、「ビットコインを使った金融商品」が増えている点は、今後の市場を見るうえで重要かと思われます。

2. 日本・香港・ドバイで暗号資産のルール整備が進む

今週は、各国で暗号資産に関する制度整備のニュースも相次ぎました。
日本では、金融庁がステーブルコインの監督細則を公表し、国債や定期預金を準備資産として活用できる方向性が示されました。香港では、暗号資産の投資助言や資産管理サービスに関するライセンス制度の整備が進められています。ドバイでも、DIFC内の暗号資産トークンに関する規制フレームワークが更新されました。

暗号資産を単純に禁止するのではなく、どのような条件なら金融サービスとして扱えるのかを整理する段階に入っていると見受けられます。
ステーブルコインやトークン化資産が広がるためには、技術だけでなく、投資家保護や準備資産、ライセンス、監督体制といったルール作りが欠かせません。暗号資産がより一般的な金融サービスに近づくほど、制度整備の重要性は高まっていきます。

3. ステーブルコインと企業のビットコイン活用も進展

日本のステーブルコイン関連プロジェクトであるJPYCは、3,200万ドルのシリーズB資金調達を完了しました。また、Tetherはジョージア政府と、ジョージア・ラリに連動するステーブルコイン「GEL₮」の発行を計画しています。

さらに、アブダビの投資会社IHCは、UAEディルハムに裏付けられたステーブルコインDDSCを使い、ADI Chain上で3,000万ドル規模の取引を行いました。ステーブルコインは、暗号資産市場内の送金手段というだけでなく、企業間決済、国際送金、貿易、資金管理など、現実の金融取引にも広がり始めています。

また、企業によるビットコイン活用も続いています。Strategyは2029年満期の15億ドル規模の転換社債について買い戻しを完了し、総負債を67億ドルまで減らしました。Striveも追加で1,109BTCを購入し、総保有量を1.65万BTCまで増やしています。暗号資産は、個人投資家だけのものではなく、企業財務や決済インフラにも入り込み始めているように見受けられます。

暗号資産で「株・原油・未来予測」まで取引する時代へ

今週のニュースで特に面白いのは、暗号資産市場の対象が、従来のようなビットコインやアルトコインだけにとどまらなくなっていることです。

ICEは海外取引所と協力し、ブレント原油やWTI原油に連動する永続先物契約の提供を計画しています。原油は、世界経済やインフレに直結する代表的なコモディティです。これまで暗号資産とは別の市場として見られていた原油のような商品が、暗号資産取引の仕組みと接続されようとしています。

また、とある海外取引所は既存の株式トークンモデルを見直し、券商直結型の米国株商品「Reality」を発表しました。米国株をトークンのように扱いながら、配当の受け取りや証拠金としての活用、戦略取引や貸借商品への利用も視野に入れています。

さらに、Hyperliquidは、オフチェーンイベントを対象とする公式予測市場を発表しました。予測市場では、選挙、経済指標、スポーツ、暗号資産価格など、未来に起こる出来事を市場で取引することができます。

ここまで来ると、暗号資産市場は「コインを売買する場所」というよりも、「あらゆる金融商品やイベントを取引できるアプリ」に近づいているようにも見えます。こうしたニュースを並べると、今週の本質は「暗号資産価格が上がったか下がったか」だけではありません。

株、原油、予測市場、AI決済、ステーブルコイン。暗号資産の技術は、さまざまな金融サービスの裏側に入り始めています。ただし、すべてが一気に広がるわけではありません。実際、スペインはPolymarketとKalshiを封鎖し、インドネシアもPolymarketを「オンライン賭博」を理由にブロックしました。予測市場のような分野は、国によって金融商品と見るのか、賭博と見るのかが分かれやすく、規制との調整が大きな課題になります。

それでも、暗号資産市場が次に見ているものは、もはやビットコインだけではありません。 暗号資産の仕組みを使って、既存の金融サービスをどこまで置き換えられるのか。あるいは、既存金融とどう接続していくのか。
そこが、次の大きなテーマになりつつあります。

まとめ

今週の暗号資産市場は、中東情勢の緊張や市場心理の弱さから、短期的には慎重な見方が必要な1週間でした。

一方で、業界全体を見ると、ビットコイン指数オプション、ステーブルコイン、企業のBTC保有、原油連動先物、米国株商品、予測市場、AIウォレットなど、暗号資産がより広い金融サービスへ広がっていることが分かります。
これまで暗号資産市場は、「どのコインが上がるか」に注目が集まりがちでした。しかし今後は、「暗号資産の仕組みが、どの金融サービスに使われるのか」が重要になっていくかもしれません。

ビットコインの値動きは、もちろん今後も市場の中心であり続けるでしょう。ただ、その次に市場が見ているのは、株、原油、未来予測、AI決済まで含めた、より大きな金融アプリ化の流れです。暗号資産は、買って持つだけのものから、金融サービスを動かす土台へ。

その変化が見えてきているように感じます。


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