米ナスダック上場のビットコイン( BTC )マイニング企業テラウルフ(TeraWulf)は5月8日、2026年第1四半期(1〜3月期)決算を発表した。
同四半期の売上高は3,400万ドル(約53億円)で、前年同期の3,440万ドルからほぼ横ばいとなったが、内訳でHPC(高性能コンピューティング)リース収益は2,100万ドルに達し、デジタル資産収益の約1,300万ドルを初めて上回った。米ザ・ブロック(The Block)の報道によると、HPC事業がBTCマイニング事業の売上を超えるのは同社にとって初めての四半期となる。
HPC事業の収益は、ニューヨーク州の主力データセンター「レイク・マリナー(Lake Mariner)」における長期顧客契約のランプアップを反映したものだ。同社は3月31日時点で、UAE系AI企業コア42(Core42)向けに60メガワット(MW)のクリティカルIT容量を稼働させており、この四半期にリース収益が本格的に計上されるようになった。
また、建設中のCB-3棟は5月中の容量提供を予定しており、CB-4およびCB-5は2026年中の引き渡しと賃料発生開始を維持している。
一方で、第1四半期の純損失は4億2,760万ドルへ拡大した。前年同期の6,140万ドルから大幅に膨らんでいるが、その約半分は新株予約権(ワラント)の再評価に伴う非現金項目とされる。
さらに、BTCマイニング設備の一部をHPC用途へ転用する過程で、マイニング事業の停止に関連する2,570万ドルの減損を含むコストが約2億ドル規模に上昇した。同社のパトリック・フルーリー最高財務責任者(CFO)は決算発表で「当四半期はビジネスが移行期にあることを示すものであり、収益は安定的かつ契約ベースのコンピュート契約に紐づく構造へと移行しつつある」と総括した。
テラウルフのポール・プラガー会長兼最高経営責任者(CEO)は決算リリースで、「2026年第1四半期は実行力に定義される四半期だった。サイト、契約、資本を備えた基盤を整えた状態で年初を迎え、それを稼働パフォーマンスと反復収益へと転換しつつある段階にある」と述べた。同社は引き続き、年間250〜500MWの新規契約容量を獲得する成長戦略を維持している。
同社は、2025年10月にAI向け高性能コンピューティングプロバイダーのフルイドスタック(Fluidstack)およびグーグルと共同発表したテキサス州168MWのデータセンター建設計画「アバーナシー(Abernathy)」合弁事業についても、2026年第4四半期の引き渡しを目標に建設が進行中であることを明らかにした。
同事業は25年間のホスティング契約に基づき、年次のエスカレーター条項付きで合計約95億ドルの契約収益を見込む。フルイドスタックのリース債務のうち約13億ドル分はグーグルが裏付けており、テラウルフは事業の51%の持分を保有する。
同社は3月末時点で約31億ドルの現金および制限付き現金を保持しており、開発パイプラインを支える流動性として確保している。直近では、コミットメントベースで最大2億5,000万ドルの枠を持つリボルビング・クレジット・ファシリティを締結。さらにケンタッキー州ホークスビルの「ジャスティファイド・データ」サイト(送電網接続済み480MW)、ニューヨーク州ランシングの「レイク・ホークアイ」(フェーズ1で150MW、フェーズ2で300MW)、メリーランド州モーガンタウンの「チェサピーク・データ」(210MW、最大1ギガワットへの拡張余地)を開発パイプラインに加えている。
今後の注目点は、CB-3〜CB-5棟の引き渡しスケジュール通りの進捗、アバーナシー合弁の2026年第4四半期完成、および年間250〜500MWの契約容量獲得目標の達成可否の3点に集約される。


