オンチェーン分析企業Glassnodeは29日公開の最新週次レポートで、ビットコインは78,000〜79,000ドルの抵抗線に阻まれ上値が重い一方で、65,000〜70,000ドルの蓄積ゾーンが下値を支えるレンジ相場となっていると分析した。
ビットコインは、真の市場平均価格(True Market Mean:TMM)である78,000ドルおよび短期保有者の取得原価(79,000ドル)のゾーンで明確に反落した。オンチェーンデータによると、価格が80,000ドルに接近する局面では、短期保有者の実現利益が4月中旬基準値と比べ約4倍に急増。これは、大規模な利確売りが発生したことを示しており、買い手側の流動性がこれを吸収しきれず、上昇の勢いを削ぐ主因となったとレポートは分析している。
このように「上がれば売られる」構造は、弱気相場で典型的に見られる動きだが、状況は完全に弱気一色というわけではないとGlassnodeは指摘する。過去2ヶ月間に形成された65,000〜70,000ドルの密集した蓄積クラスターが、重要なサポートゾーンとして機能する可能性を強調。このゾーンを維持することができれば、短期的に上方の供給ゾーン下限(84,000ドル付近)への反発も期待できるとしている。
一方、真の市場平均価格ゾーンでの売り圧力を吸収できない場合、同蓄積クラスター内、特に短期保有者の-1標準偏差付近にあたる約68,000ドルが、次の主要な防衛ラインになると分析。このレンジ内で「買い手の信念」が試される展開となりそうだ。
Glassnodeはオフチェーン分析において、いくつかの改善兆候が見られるものの、全体として需要の質がまだ弱いと評価している。
現物市場の取引量デルタ(買い注文と売り注文の差)の7日平均が長期間のマイナス圏(売り優勢)から中立方向へ回復し、プラスのデルタが散発的に出現し始めたと指摘。売り圧力が緩和し、買い手が徐々に戻り始めている兆候と分析した。
機関投資家の動向としては、米国の現物ビットコインETFの運用資産残高(AUM)が減少から反発に転じたほか、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)の未決済建玉は底打ちの兆しを見せている。Glassnodeはこれを、機関投資家が様子見姿勢を保ちつつ市場へ再参入を始めた初期段階と評価している。
ビットコインの永久先物市場における「方向性プレミアム」は、統計史上最大となるショートポジションへの偏りを示している。Glassnodeの分析によれば、この記録的なショートバイアスは、近年の相場低迷を受けたヘッジ売りや空売りの急増に加え、積み上がっていたロングポジションの強制清算が相次いだことで加速したという。
同時に、現物需要の停滞とETFへの資金流入の鈍化によって、自然な買い支えが減少しており、デリバティブ市場が短期的な価格形成を支配しやすい環境となっている。
過去の事例では、このように極端な偏りが見られる時期は「相場の節目」となることが多いとGlassnodeは指摘する。足元では不透明な状況が続いているが、市場心理の改善や現物需要の回復が起きた場合、わずかな価格上昇がきっかけとなって「ショートスクイーズ」が発生しやすい市場環境となりつつあると示唆した。
ボラティリティ関連では、実現ボラティリティ(RV)とインプライド・ボラティリティ(IV)が近い水準で推移しており、方向感に対する確信が薄く、落ち着いた市場環境であることを裏付けている。4月を通じてIVは全ての満期で大幅に圧縮され、平均で約10ポイント低下した。実現ボラティリティ(RV)もこれに追従し、1ヶ月物ではRV36、IV38とほぼ同水準に収束している。
Glassnodeはこれらを総括し、現在のビットコイン市場は「微妙な均衡状態」にあると指摘した。ポジションの重心は全体的に慎重姿勢に傾いているものの、資金フローが反転すれば急激な上昇(ショートスクイーズ)局面を迎える可能性も秘めていると説明している。
ただし、明確な現物需要の拡大や機関投資家の本格的な資金流入が確認されるまでは、相場は不安定なレンジ内の値動きが続く可能性が最も高いとの見方を示した。