著名マクロ投資家でチューダー・インベストメント創業者のポール・チューダー・ジョーンズ氏は4月28日、「Invest Like the Best」のポッドキャストに出演し、ビットコイン( BTC )を「明確に最高のインフレヘッジ手段」と評価した。同氏は中央銀行による貨幣の増刷に対抗する手段として、ビットコインが金(ゴールド)を上回る希少価値を持つとの見解を以前から維持している。
ジョーンズ氏は、ビットコインの発行上限が2,100万枚に固定されており、新規採掘可能な数量が残り100万枚未満である事実を強調した。毎年数パーセントずつ供給量が増加する金と比較し、ビットコインの分散性と絶対的な有限性がインフレヘッジとしての優位性を構成していると説明している。
ジョーンズ氏は2020年に米国連邦準備制度理事会(FRB)と財務省による大規模な財政介入を契機として、自身の運用資産の1%から2%をビットコインに割り当てている。その後もポートフォリオの分散化を目的として、仮想通貨への配分を最大5%まで引き上げる意向を表明するなど、同氏は一貫してビットコインをインフレヘッジの最適解として位置付けてきた。
一方でジョーンズ氏は、ビットコインに関する長期的なリスク要因としてサイバー空間での「動的(キネティック)な紛争」や量子コンピューティングの実用化を挙げている。人工知能(AI)の急速な進化に伴い、将来的に量子コンピュータが銀行システムをハッキングする可能性があり、その際はビットコインを含むすべての電子資産が機能停止に陥る危険性を指摘した。
現在の金融市場についてジョーンズ氏は、1999年から2000年にかけてのITバブル崩壊前夜と多数の類似点があるとの分析を提示した。同氏は特にナスダックの最高値更新を牽引するAI関連企業間で、製品の購入資金を顧客に提供する「ベンダーファイナンス」が横行している状況に強い警戒感を示している。
ジョーンズ氏は、現在の市場が終盤の相場局面を迎えるための条件が揃っており、その熱狂の規模は過去のITバブルをはるかに凌駕すると予想している。投資家によるFOMO(乗り遅れる恐怖)を背景とした投機的な資金流入が継続することで、相場がピークに達するまでの12カ月間で価格が年間平均の2倍に跳ね上がるシナリオを想定している。
71歳を迎えた現在もジョーンズ氏は、毎朝2時30分に起床してロンドン市場の取引に参加し、第一線でのマクロ投資を継続している。FRBが利下げに転じ、かつ米国の財政が赤字状態にあるという1950年代初頭以来の特異な金融環境の下、同氏は市場の最終局面に向けて機動的に資金移動ができる態勢を維持する方針を示している。