ロンドン・ビジネス・スクール(London Business School)のロベルト・ゴメス・クラム(Roberto Gomez-Cram)氏らとイェール大学(Yale University)のタイス・インゲルスレフ・イェンセン(Theis Ingerslev Jensen)氏による共同研究チームが、予測市場プラットフォーム「ポリマーケット」の全取引履歴を分析した論文を25日に改訂版を発表した。
分析対象は172万アカウント、総取引量137億6,000万ドル(約2兆円)、9万8,906件のイベントおよび21万322の予測項目に及ぶ。統計手法「符号ランダム化テスト」を用いて各トレーダーの利益が真の実力によるものか偶然によるものかを分類した結果、実力を持つトレーダーはわずか3.14%にとどまることが判明した。
この熟練トレーダー群は平均79市場に参加し、最終的な正解方向に一貫してポジションを取ることで持続的な利益を上げていた。
また、FOMC(連邦公開市場委員会)の決定発表や企業決算といったスケジュール済みのニュースが出た際も、熟練層だけが発表直後に素早く正しい方向へ注文フローを変化させたことが確認された。一方、残り約97%のアカウントは利益がなかったか損失を被っており、実質的に熟練トレーダーの利益の原資となっていた。
論文ではインサイダー取引の疑いがある事例にも言及している。2026年1月3日、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領失脚に関する契約において、3つの新規アカウントが米軍の秘密作戦が実行される数時間前に大量ポジションを取り、合計63万ドル超の利益を得た。当時の市場の確率表示は約10%だった。4月23日には米商品先物取引委員会(CFTC)が現役米軍兵士に対し同件でインサイダー取引の申し立てを行った。
ポリマーケットの月間取引量は2023年12月の330万ドルから2025年12月には19億8,000万ドルへと約600倍に拡大しており、予測市場は急速な成長局面にある。
今回の研究は「群衆の知恵」という予測市場の根幹的な前提に疑問を投げかけるものであり、分散型市場の信頼性と規制のあり方を巡る議論が今後さらに高まる可能性がある。