世界的なインフレで食料品や生活必需品の価格は上昇し、円安によって日本円の購買力も低下しています。株式市場は乱高下を繰り返し、年金制度への不安も重なるなか、「毎月コツコツ貯めれば安心」という従来の常識は揺らいでいます。
そこで重要になるのが「お金に働いてもらう仕組み」を持つことです。本記事では、ビットコインを用いた分散投資と、保有資産で利息を得るレンディングの活用法を初心者にもわかりやすく解説し、インフレ・円安の波を乗り越える資産防衛戦略を提案します。
2019年に金融庁の報告書が公表されて以来、「老後2,000万円問題」という言葉が半ば常識のように語られるようになりました。報告書は、夫65歳以上・妻60歳以上の無職世帯が年金だけで暮らした場合、毎月およそ5.5万円の赤字が生じ、30年間で約2,000万円不足する――という試算です。
ただし、この数字はあくまで”平均的なモデル世帯”を前提とした概算に過ぎません。都市部と地方では家賃や物価が大きく異なり、持ち家か賃貸かでも必要な支出は変わります。加えて、医療・介護費や住宅のメンテナンス費、趣味や交際費といった個別要素も千差万別です。
平均モデルを鵜呑みにせず、自分の生活スタイルに合った不足額を把握することが第一歩です。
さらに、2019年時点の試算には、インフレや円安による購買力低下が十分に織り込まれていません。仮に年2〜3%のインフレが35年続くと、月26万円の生活費は約50万円に膨らみ、不足額は4,000万円規模に拡大します。現金や円建て資産だけに依存すると、購買力が目減りするリスクは避けられません。
もちろん、定年後の就労や家賃収入、生活費の削減で補う方法もありますが、体力や初期投資、生活満足度に制約が生じます。「老後も自分らしい暮らしを続けたい」という希望を実現するには、お金そのものに働いてもらう「資産運用」こそ、現実的な解決策です。
投資信託・株式・外貨に加え、インフレと円安に強い資産をポートフォリオに組み込むことがカギとなります。
前章で確認したとおり、老後資金を守る核心はインフレに負けない購買力の維持です。ところが、セオリーとされてきた金融資産ポートフォリオ(現金、株式、債券、外貨、金)には、「同時下落リスク」「実質購買力の目減り」「システミックリスク」という三つの構造的な弱点が浮き彫りになっています。
従来の資産防衛は「60/40ポートフォリオ」(株式60%、債券40%)に金を加えた構成が王道とされてきました。株価下落時は債券が上昇してクッション役を果たし、インフレ時は金が価値を保持する──これが理論上の役割分担でした。
しかし2022年以降、この前提が崩れています。インフレ+金利上昇局面では、株も債券も同時下落し、分散効果が機能しない場面が頻発しています。
伝統資産の大半は既存金融システムに依存しています。金融危機や通貨不安が起きれば、複数資産が同時に値下がりする可能性があり、「分散していたつもりが一蓮托生」という事態もあり得ます。
このような伝統資産の課題に対し、「デジタルゴールド」としてのビットコインに注目が集まっています。従来の60/40+金の組み合わせに対し、ビットコインはどのような特徴を持つのでしょうか。
2024年1月、米国で現物ビットコインETF(上場投資信託)が承認され、年金基金や大学基金でも証券コードで購入できる環境が整いました。これを受け、世界最大手ブラックロックは2025年に自社モデルポートフォリオへ1〜2%組み入れを発表。フィデリティも「デジタル版ゴールド」と位置づけ、価値保存手段としての有用性を強調しています。
上場企業も追随し、マイクロストラテジーやテスラなど 約40社が合計80万BTC (発行上限の約3.8%)を保有。インフレや通貨安への”防衛資産”として、ビットコインは 投機対象からポートフォリオ必需品 へと評価が転換しつつあります。
では、このような”成長と守り”を兼ね備えたビットコインを、どう効率よく活かせるのか? そこで注目されているのが、 仮想通貨レンディング という仕組みです。
長期的な資産運用において、ビットコインが果たす役割は機関投資家の間でも明確になりつつあります。世界最大の資産運用会社であるブラックロックは、2024年9月に発表したレポート 『Bitcoin: A Unique Diversifier』 の中で、ビットコインの特性を「他の主要資産と長期的に低い相関性を持ち、ポートフォリオ全体のリスク分散に寄与する存在」と評価しています。
同レポートでは、S&P500などの株式市場との相関係数が0.2前後と低く、伝統的な60/40ポートフォリオが機能しにくい局面において、補完的な資産としての可能性が強調されています。特に、世界的な金融不安や地政学的リスク、米国の財政・政治への懸念が高まる中で、発行上限と分散性を備えたビットコインが注目される場面が増えていると指摘されています。
こうした特徴は、ビットコインが単なる投機対象ではなく、制度的な資産運用に組み込まれつつある証拠と言えます。
実績面では、ブラックロックのデータによれば、過去10年間の年率リターンは100%超に達しています。特に2022年には−64%の急落を経験したものの、2023年に+154%、2024年に+122%と力強く回復し、直近3年間の平均リターンは年率26%となりました。このように、高いボラティリティと同時に強い回復力も備えている点は、ビットコインが「守り」と「成長」の両面で期待できる資産であることを示しています。
ブラックロックは、数百億〜数兆円を運用する機関投資家向けに「ポートフォリオの1〜2%をビットコインに組み入れる」というモデルを提示しています。これはあくまで大規模な資金を前提とした構成ですが、個人投資家にとっても、資産の一部をビットコインに振り分けることで、同様の分散効果や成長余地を取り込むことが可能です。
その際には、無理のない範囲で少額から始めることが重要です。ドルコスト平均法による積立や、価格変動への慣れを重視した段階的な組み入れが有効です。あくまでビットコインはリスク資産であることを理解したうえで、資産全体とのバランスを考慮した設計が求められます。
ビットコインを長期保有する場合、多くの人は「値上がりを待つだけ」の状態になりがちです。しかし、売却せずに利回りを得る方法があります。それが 仮想通貨レンディング(貸暗号資産) です。
レンディングとは、保有する仮想通貨を取引所などの事業者に一定期間貸し出し、満期時に 賃借料(利息)を上乗せして返却してもらう 仕組みです。
たとえば1BTCを年率3%で1年間貸し出した場合、満期時には1BTC+0.03BTC(賃借料)が戻ってきます。株式の配当や債券の利息と似た感覚で、 「持っているだけ」から「働かせる」へ 切り替えることができます。
もちろんリスクもあります。利用前に理解しておきましょう。
これらを踏まえ、 余剰資金の範囲内で、信頼できる国内取引所を選ぶ ことが重要です。
国内の主要な仮想通貨取引所では、レンディングサービスを提供しています。年率や貸出期間、対応銘柄は取引所によって異なるため、 自分の運用スタイルに合ったサービスを選ぶ ことが大切です。