多数の暗号資産(仮想通貨)スタートアップや主要テクノロジー企業が本拠を置く米カリフォルニア州で、超富裕層の資産に5%の課税を行う提案が示され、仮想通貨・テック業界の重鎮から強い反発が相次いでいる。
提案された「2026年カリフォルニア州億万長者税法」は、純資産が10億ドル(約1,560億円)を超えるカリフォルニア州居住者に対し、資産の最大5%まで課税するものだ。一括払いもしくは5年間にわたる分割払いが可能だが、分割払いには年7.5%の利子が課せられる。
この税金は継続的なものではなく一回限りの緊急措置だが、株式、不動産、仮想通貨などを対象とし、未実現の含み益にも課税される点が問題視されている。
この法案を提出したのは、サービス従業員国際組合の医療従事者部門・西部支部(SEIU-UHW)で、「カリフォルニア州の医療制度の崩壊を防ぎ、同州の公立小中高教育と食料支援プログラムの財源確保」を目的としている。同団体は、この税により、「医療従事者の雇用が守られ、働く人々とその家族が必要な医療を受けられるようになる」が、負担するのは約200人の保有資産10億ドル以上の州民に限られると強調した。
SEIU-UHWは10月21日、この法案を2026年11月の住民投票にかけるための書類を提出したが、住民投票の対象となるには、約87万5000人の署名を集める必要がある。
この提案に対し、仮想通貨業界の著名リーダーらが反対の声をあげ、起業家の流出と資本逃避を招くと警告している。
また、ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、PayPalおよびPalantir共同創業者のピーター・ティール氏とGoogleの共同創業者ラリー・ペイジ氏は、年末までにカリフォルニア州との関係を縮小する協議を行っている。両氏とも、他州にオフィスや会社を設立し、州外に移住する方向で検討を進めているという。
さらにアクティビスト投資家として知られるビル・アックマン氏も、富裕税提案に反対し、警告している。
オンチェーンデータプラットフォーム「Dune」の共同創業者兼CEOフレドリック・ハーガ氏は、ノルウェーの例を引き合いに出し、富裕税は失敗に終わると指摘している。