米国上院銀行委員会のティム・スコット委員長(共和党)は15日、暗号資産(仮想通貨)の市場構造を定める「クラリティ法案(市場構造法案)」について、委員会採決を2026年に先送りすると発表した。ジャーナリストのエレノア・テレット氏などが報じた。
スコット氏の広報担当者は、民主党議員らとも協力しながら、超党派によるデジタル資産市場構造法案について議論の進展があったとして、次のように表明した。
通常の手順では、クラリティ法案は委員会での審議後、上院本会議で採決される運びとなる。
銀行委員会の共和党幹部と、民主党議員グループは1週間にわたって法案の交渉を行っていた。また、議員らは、それぞれ銀行業界、仮想通貨業界と会談して法案内容を協議している。
スコット委員長は11日、業界との協議で進展があったと報告していたところだ。
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現在のところ、主に銀行業界と民主党がステーブルコイン利回りやDeFi(分散型金融)についてより厳格な条件を求めている傾向がある。
ステーブルコインについては、仮想通貨取引所がステーブルコインを預けたユーザーに対して利回りを付与することの禁止を求めている。また、銀行業界は、DeFiの開発者、バリデーターなども規制対象の仲介業者として分類するよう働きかけているところだ。
関連して、世界最大級のマーケットメーカー、シタデル・セキュリティーズは最近、米証券取引委員会(SEC)にDeFiを従来の仲介業者として規制するよう要求した。
これを受けて、DeFi教育基金など業界団体もSECに反論の書簡を提出。DeFiでみられるような自律的なソフトウェアや技術インフラは、既存の「仲介業者」カテゴリには分類できず、異なるアプローチが必要だという趣旨を訴えている。
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今年は仮想通貨に友好的なトランプ政権が誕生し、ステーブルコイン規制の「ジーニアス法」が成立した。ステーブルコイン規制明確化により、様々な企業の間で関連事業への気運が高まっている。
「クラリティ法」は、仮想通貨が「証券」か「商品(コモディティ)」かの分類基準を定め、SECとCFTC(商品先物取引委員会)との間で曖昧だった管轄を明確にする。
業界が遵守すべきルールが明確になることで、中長期的な仮想通貨への企業や資金の参入促進が期待される。
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