現預金も不動産も債券も株式も、ブロックチェーン上でトークン化される時代が迫る中、既存金融とブロックチェーンの接続インフラを担う『オラクル』という役割がある。その筆頭銘柄である「チェーンリンク(Chainlink:LINK)」の将来性を解説する。
現実資産のトークン化(RWA)が、金融業界の次の大テーマになっている。トークン化とは、不動産、債券、株式などの実物資産をブロックチェーン上のデジタルアセットとして表現することだ。
トークン化には、対象資産の分割/小口化、24時間取引可能、仲介業者不要、市場構築と流動性の改善・グローバル投資家へのアクセスなど、従来の金融システムでは実現困難だったメリットが得られる。
実際、RWA(実世界資産)市場は3年で380%成長し、2025年には240億ドルに到達。BlackRockは2024年にトークン化投信「BUIDL」をローンチし、資産規模29億ドルに発展している。
2025年10月、FRBが開催した「Payments Innovation Conference」のパネル「伝統的金融とデジタル資産エコシステムの橋渡し」に、チェーンリンク CEOセルゲイ・ナザロフ氏が登壇した。
取引所、ステーブルコイン、資産運用――前3社は投資家資金の「入口」を担う。一方、チェーンリンクは「インフラ」だ。
ここで課題となるのが、既存金融システムとブロックチェーンをどう繋ぐか。ブロックチェーン上のプログラムは、株価や決済完了通知など外部データを自力で取得できない。この「橋渡し」を担うのがオラクルであり、その地位を確立しているのがチェーンリンクだ。
チェーンリンク(ティッカー:LINK)は、ブロックチェーンに外部データを供給するオラクルネットワークだ。
LINKトークンはネットワークの燃料だ。ノード運営者はLINKで報酬を受け取り、データ利用者はLINKで対価を支払う。利用が増えるほど、トークン需要が高まる。
チェーンリンクの信頼性を支えるのが、 DON(分散型オラクルネットワーク) と OCR(Offchain Reporting) だ。
この分散化により、単一障害点のない金融インフラとして機能する。
チェーンリンクは単なる価格データ提供を超え、トークン化の各フェーズで不可欠な役割を担う。
特に CCIP(クロスチェーン相互運用プロトコル) は、60以上のブロックチェーンを接続し、過去6ヶ月で週平均約9,000万ドルのトークン転送を処理している。
上図が示すように、DeFi側ではAave、Lido、Compoundなどの主要プロトコルが、伝統金融側ではSWIFT、J.P. Morgan、UBS、Mastercardなどのグローバル企業が、すでにチェーンリンクを採用している。単なる「将来の可能性」ではなく、実用段階に入りつつある点が重要だ。
SWIFTは200以上の国・地域で1万1500以上の金融機関が利用する国際送金ネットワークだ。2023年から実証実験を重ね、2025年11月に統合が本格稼働する見込み。
重要なのは、 既存の銀行システムを変更せずにブロックチェーン資産へアクセスできる 点だ。銀行はSWIFTの既存インターフェースを使い続けながら、チェーンリンク経由でトークン化資産を取引できる。
2025年5-6月、チェーンリンクはJ.P. MorganのKinexysとOndo Financeと共同で、クロスチェーンDvP(同時決済)テストを実施。
資産は各ネットワークに留まり、決済指示のみが移動。パブリックチェーンとプライベートチェーンの安全な連携が実証された。
2025年、チェーンリンクは米国商務省と協力し、主要マクロ経済データをオンチェーン化。ナザロフCEOはトランプ大統領主催のデジタル資産サミットに招待され、上院銀行委員会、財務省、SECとの協議も実施している。
トークン化市場は2030年までに16兆ドル規模への成長が予測されている。その市場において、既存金融とブロックチェーンを接続するインフラを独占的に提供しているのがチェーンリンクだ。
LINKトークンへの投資を検討する際は、80%超の市場シェアや主要金融機関との提携といった強みがある一方、Pythなど特定領域での競合台頭や、トークン化市場自体の成長鈍化リスクも考慮する必要がある。
チェーンリンクの技術詳細や購入方法については、以下の記事で解説している。
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