Superteam Japan代表が語るソラナエコシステムの日本展開戦略|独占インタビュー
ソラナエコシステムの日本展開を牽引するSuperteam Japanが、設立から1年3か月で世界トップクラスの実績を達成。コミュニティGDPで世界1位、ビジネスコンペ「Breakpoint」でAPAC1位(世界3位)を達成した。
さらにみんなの銀行との協業開始など、エンタープライズ領域でも着実に成果を上げている。8月24日に開催された「Super Tokyo 2025」の直後、代表の大木悠氏に成功要因と今後の戦略を聞いた。
2023年5月に立ち上がって1年3か月が経過しました。当初のフォーカスエリアは、コミュニティとスタートアップの2つです。コミュニティについては、Discord上での活発な交流も重要ですが、我々の最重要KPIである「コミュニティGDP」を上げることが、Superteamとしての目標です。
コミュニティGDPとは、Superteam Japanのメンバーが海外プロジェクトから受注した報酬額の合計を指します。Superteam Japanのメンバーが個々に獲得した報酬額の総計がこのGDPとなり、我々はマッチングを行いますが、中間マージンは一切取らないというビジネスモデルを採用しています。
日本に関心を持つ海外の大型プロジェクトが多く、効果的なマッチングが実現できている状況です。世界15か国以上あるSuperteamの中で、2025年7月にコミュニティGDPが世界1位となりました。順調に成長していると評価しています。
スタートアップ支援においても顕著な進展がありました。ソラナでは年に2回大規模なビジネスコンペティションが開催されます。入賞すると、有名ソラナプロジェクトの創業者たちから直接指導を受けられる機会や、エコシステムからの資金調達の優位性、ソラナの重要人物とのネットワーク構築など、様々なメリットが得られます。日本チームを多数入賞させることが、スタートアップ部門のもう一つの重要な目標です。
Superteam Japan設立後初めてのビジネスコンペ「Radar」では、参加50チーム中3チームが入賞という標準的な結果でした。しかし、2025年春の「Breakpoint」では大きな躍進を遂げ、参加50チーム中7チームが入賞しました。APAC地域のSuperteamではトップの成績で、世界全体でも3位(イギリス、インドに次ぐ)という結果です。Superteam Japan設立前は日本チームがランキングに入ることはなかったため、非常に大きな進歩といえます。
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複数の要因が考えられますが、最も大きな要因は、Breakpoint開催前の2025年3月に実施した「Winter Arc」というスタートアップ合宿です。長野県松本市で1週間にわたり日本チームが共同生活を送り、過去の入賞者や審査員経験者をメンターとして招聘し、集中的な支援環境を構築しました。
Web3業界はオンライン中心の環境であり、物理的に集まって協働する機会は限られています。しかし、短期間でも対面で同じ目標に向かって進むことの重要性を実感しました。長野県松本市の環境も事業開発に集中できる面で優れており、家族的な雰囲気の中でチームビルディングが効果的に行われました。
もう一つの重要な要因は、国籍にこだわらない人材戦略です。日本への移住を検討している海外の優秀な起業家も日本チームのメンバーとして受け入れています。多国籍チーム構成により、グローバルな知見を活用しながら、日本の強みを発揮できる体制を構築しました。この戦略がAPAC1位という成果につながったと考えています。
従来からコミュニティGDPとスタートアップ支援がSuperteamの二大目標でした。今年に入ってから、第三の軸としてエンタープライズ事業開発を開始しました。大企業向けにソラナを使った事業開発の提案や勉強会の開催をし、企業のソラナ採用を促進する活動を展開しています。
日本経済は大企業が中心的な役割を果たしており、金融や通信分野を中心にWeb3への注目が高まっています。日本の大企業をブロックチェーン、特にソラナエコシステムに参画させることが極めて重要であり、この部門は今後さらに拡大していく予定です。
事業開発活動を開始してから約半年で、すでにみんなの銀行がステーブルコイン(正確には預金トークン)の研究開始を発表しました。ソラナの認知度は着実に向上しています。
ソラナの強みは「速い、安い、楽しい」という三要素に集約されます。処理速度とトランザクション処理能力は、「Internet Capital Markets」時代に不可欠です。この概念では、あらゆるものがトークン化され、何百万、何千万のトークンが世界中で取引される未来を想定しています。ソラナは「分散型のNASDAQ」を目指しており、そのインフラ構築に向けて開発者が技術の限界に挑戦しています。
ミームコインは視点を変えれば、ソラナの技術力を証明する事例となります。トランプのミームコイン誕生時には、ブロックチェーン史上最大の1日トランザクション数を記録しましたが、ソラナは停止することなく処理を完了しました。
重要なのは、ステーブルコイン、RWA(Real World Assets)、DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Networks)など、あらゆる分野が参入してきた際に、それらすべてを支えるキャパシティを持つことです。ソラナはすでにその基盤を構築しており、今後さらに強化していく計画です。
公開情報ベースですが、Firedancer実装により、現在65万TPSの処理速度が理論値で100万TPSに向上する予定です。現在、Frankendancer(フランケンダンサー)というテストネット版が稼働しています。12月開催予定のBreakpointカンファレンスで、何らかの進展報告があると予想されています。
エコシステムの横のつながりも大きな強みです。Super Tokyo 2025では、ソラナを代表するプロジェクトの幹部が来日し、日本の大企業との接点創出が実現しました。
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日本市場では、依然としてソラナの認知度に課題があります。クリプト業界では広く知られていますが、エンタープライズ層での認知はまだ不十分です。
ソラナに対する誤解が存在する可能性があり、日本にSolana Japanという法人が存在することを知らない企業も多いのが現状です。また、イーサリアムEVM系チェーンとの技術的差異について、十分な理解が得られていません。これらの課題に対して、今後も継続的な啓発活動が必要です。
Super Tokyo 2025は日本最大のソラナカンファレンスとして2回目の開催となりました。昨年の初回はSuperteam設立から3か月後の開催で、幅広い層から参加者が多く集まりました。
今回のテーマは「Internet Capital Markets」という、ソラナ財団が提唱する概念でした。これは、あらゆるものがトークン化され、スマートフォンでカジュアルに取引される未来を描いています。株式のトークン化、ステーブルコインのハブ機能、決済システム、金融機関の関わり方、DEXやDeFiなど、このテーマに沿った充実したコンテンツが提供されました。
参加者は明確な目的意識を持って参加しており、意識の高い参加者が集まったと評価しています。セッション内容もステーブルコインやRWA(Real World Assets)など、より実務的な内容が増加しました。スポンサーはソラナの規模の大きいプロジェクトが中心で、日本の事業者も参加していました。
ソラナ導入を検討されている個人、団体、企業の方々に向けて、Superteam Japanを運営するSolana Japanを通じた支援体制を整えています。日本語で対応可能な窓口があることは、多くの方にとって重要な安心材料になると考えています。ぜひお問い合わせください。
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