「ビットコインとRWAでアジアの金融変革を」Blockstreamら3社、東京で非公開イベント開催
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン( BTC )とブロックチェーンのインフラ開発をリードするBlockstreamら3社は8月26日に東京で、ビットコインとRWA(現実資産)に関する非公開のイベントを開催した。
イベントのタイトルは「ビットコインとRWAでアジアの金融変革を推進する」。オンチェーン・ファイナンスはイデオロギーから制度へ、周縁から主流へと移行しており、アジアはこの変革の「参加者」であるだけでなく、「主要な設計者」になりつつあるとの意見で一致したという。
今回のイベントをBlockstreamと共催したのは、アジア拠点のオンチェーン・ウェルスマネジメント基盤ソリューション構築企業EchoXと、デジタル資産セキュリティソリューションの専門企業Safeheronである。
イベントでは、日本、台湾、シンガポール、香港から銀行、資産運用、証券、レグテック分野の約100名のシニア意思決定者を招き、アジアのオンチェーン資産運用における次のパラダイムシフトについて議論が行われた。
上述した共催企業の3社は今回、ビットコインのレイヤー2「Liquid Network」上に多層的なブロックチェーン金融インフラを共同開発することを正式発表。この協業ではEchoXが、地域の金融ニーズをプロダクト設計に組み込み、パートナーと連携しながら、アジアの規制に適合したブロックチェーンソリューションを開発する主導的な役割を担うとした。
また、Blockstreamが、Liquid Networkを通じて、ステーブルコインの発行やRWAのトークン化を可能にする基盤を提供。Safeheronは、マルチパーティ計算(MPC)という技術を活用したセルフカストディおよび資産ガバナンス・ソリューションを提供する。
3社が協力することで、コンプライアンスに準拠し、安全で導入可能なオンチェーン資産フレームワークを実現。従来型金融資本のブロックチェーンエコシステムへの移行を加速させることを目指すとした。
3社の協業発表以外では、基調講演やパネルディスカッションも行われた。
Blockstreamのアダム・バックCEOは、「ビットコイン・オペレーティングシステム」というテーマで基調講演に登壇。Liquid Networkがどのように進化し、機関投資向けのビットコイン基盤オペレーティングシステムとしてグローバルに応用され、次世代金融インフラにとって基盤的意義を持つかを論じた。
バック氏は、ビットコインのホワイトペーパーでサトシ・ナカモトが言及したプルーフ・オブ・ワーク(PoW)のアルゴリズム「Hashcash」を発明した人物。サトシ・ナカモトと交流があったことでも知られる。
また、今月4日には、バック氏がEchoXに出資を行ったことをEchoXが発表(出資額記載なし)。これはバック氏による初めてのアジアへの出資だという。
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EchoXのニール・リーCEOも「オンチェーン・ウェルスマネジメント:TradFiとDeFiをつなぐ」というテーマで基調講演を行った。EchoXがどのように伝統的金融機関の資産をオンチェーン化し、アジア特有の市場ニーズに即した規制対応型・プロダクト化サービスを通じてCeFi(中央集権型金融)とDeFi(分散型金融)を橋渡ししているかを紹介した。
また、基調講演に続き、2つのパネルディスカッションも開催。テーマはそれぞれ「ビットコインからRWAへ:セキュリティ、イノベーション、アジア金融の転換」と「デジタル金融の転換期:イノベーション、信頼、コンプライアンス」である。
今回のイベントでは、アジアの金融領域に深く響く4つの主要テーマを探求したという。テーマの内容は以下の通りである。
そして、イベントの結論は「アジアはオンチェーン・ファイナンスの座標軸を再定義する」ということ。上述した通りアジアは変革の主要な設計者となりつつあるとし、規制の明確化、技術統合、資本戦略を通じて、新たな国際的金融協調モデルを構築しているという意見で一致した。
また、イベント開催日の8月26日は「金融変革の地図における決定的な座標として記憶される」とし、イベントの意義を強調。「資産配分の未来はここで再定義され、次の10年の金融はこの地点から書き換えられる」とした。
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