インドが仮想通貨規制の制定を躊躇か 金融システムへの影響を懸念
インド政府は、システミックリスクにつながると懸念を抱き、暗号資産(仮想通貨)規制を制定することに躊躇している模様だ。ロイター通信が10日に報じた。
ロイターが入手した政府文書によると、インド政府は、仮想通貨を規制することは、そのセクターに「正当性」を与え、「システム化する可能性がある」としている。広い金融システムに影響をおよぼすものになることを懸念する格好だ。
一方で、仮想通貨の全面禁止は、主に投機に起因する「憂慮すべき」リスクには対処できるものの、分散型取引所におけるピアツーピア(P2P)送金や取引を取り締まれるものではないともしている。
インドは当初2024年9月に仮想通貨規制方針を概説する協議書を発表する予定だったが、見送りになっている。2月には、仮想通貨に積極的なトランプ政権誕生も背景に、内容を見直していると報じられていた。
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インドでは2023年以前、仮想通貨を禁止するか規制するかで方針が一転二転していた。
その後、禁止ではなく規制する方向に進んできたものの、今回の報道を踏まえると、明確な規制方針の構築はまだ繰り延べになる可能性も浮上している。
今回の文書によると、インド国民は様々な銘柄の仮想通貨に45億ドル(約6,600億円)相当の投資を行っているとされる。現時点では規模は小さく、金融の安定性に対するシステミックリスクにはなっていない状況だ。
インドでは、仮想通貨取引所は金融情報機関(FIU)に登録すれば営業が許可されている。ただ、仮想通貨キャピタルゲイン税は30%と比較的高く、取引全般に対する1%の源泉徴収税もかかる。
インドの最高裁判所は最近、こうした仮想通貨への課税は、このセクターを暗黙的に承認していることを示すとして、政府に対し明確な規制を制定するよう促したところだ。
こうした規制が曖昧な状況でも、チェイナリシスによる草の根での仮想通貨使用を表すランキングでは、インドは2023年、2024年と二年連続で一位にランクインしている。これは、仮想通貨の取引量などを購買力平価で調整して算出された。
また、インド与党の報道官は6月、「個人的見解」としつつビットコイン( BTC )準備金の試験的な導入や、仮想通貨マイニングの検討を提唱している。
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規制・税務関連では、インドは2027年4月までに経済協力開発機構(OECD)が開発した「暗号資産報告フレームワーク(CARF)」に参加する見込みだ。Business Standardが伝えている。
これは、仮想通貨取引における脱税を防ぐために、税務当局間が情報交換するための新たな国際基準だ。
インドの慎重姿勢とは対照的に、米国は株式トークン化やステーブルコインなども含め、仮想通貨の技術をより広い金融システムと接続していこうとしているところだ。
インド国内ではこうした状況に対応する必要性があるとの意見も上がっている。たとえば、仮想通貨取引所CoinDCXのスミット・グプタCEOは、政府が長期的なロードマップを策定してインドを世界のイノベーションに適合させるための議会委員会やWeb3ワーキンググループを設置することを求めている。
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