仮想通貨市場構造を定める「クラリティ法案」支持の条件は? 米民主党議員12名らが公開
米上院の、暗号資産(仮想通貨)支持派の上院民主党議員12名は9日、クラリティ法案を支持するための条件リストを公開した。超党派での合意が成立する限り法案を可決する意欲を示す一方、成立を急ぐべきではないとの姿勢も示した。
この条件を解説した書簡はルーベン・ガジェゴ議員が提出し、マーク・ワーナー議員、カーステン・ギリブランド議員、コーリー・ブッカー議員、アダム・シフ議員その他が名前を連ねた。
6日には、上院銀行委員会が、仮想通貨市場構造法案(クラリティ法案)の最新版を発表したところだ。ステーキング、エアドロップ、NFT(非代替性トークン)を原則的に証券分類から除外する内容を含んでいる。
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12名による条件は、米商品先物取引委員会(CFTC)に仮想通貨の現物商品を規制するための追加権限を付与することなどを盛り込む一方で、倫理面や監督面で共和党より厳格なルールも要望している。
特に、米国ユーザーにサービスを提供するデジタル資産プラットフォームには、金融機関として米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)への登録を義務付けるとしている。
これにより、取引所、カストディアン、その他の仲介業者は、銀行秘密法、アンチマネロン規則、制裁対応、FinCENへの報告などが義務付けられる格好だ。
さらに、DeFi(分散型金融)について、違法な資金調達など悪用を防ぐための新たな監督体制の導入を求めている。
ステーブルコインについては、間接的または関連会社を通じた利回り支払いを禁止することも要求した。なお、米国銀行協会(ABA)も、すでに成立した「ジーニアス法」を改正して間接的利回りを禁ずることを要望していたところだ。
ジーニアス法は、ステーブルコイン発行者が保有者に直接的に利回りなどの報酬を付与することは禁じているが、仮想通貨取引所などによる利回り付与は禁じていない。
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12名の議員らは政治的な側面からも条件を提示した。トランプ大統領とその一族が仮想通貨プロジェクトに携わっており、デジタル資産業界全体への信頼を損なっていると批判している。
その上で、公職者とその家族が在職中に仮想通貨プロジェクトを立ち上げたり、そこから利益を得たりすることを禁止するとした。公務員に保有資産の開示を義務付けることも提案している。
その他に、米証券取引委員会(SEC)とCFTC、財務省などに、現在民主党メンバーが不足していることも批判した。トランプ大統領は、規制当局の民主党委員を多数解任する一方、新たな委員の指名には関心を示していないと指摘している。
たとえば現在、SECには委員の定員5名中、民主党のメンバーは1名しか残っていない。
議員らは、当局は民主党の意見も必要としており、超党派で規制することによってのみバランスの取れたルールを作成し、デジタル資産市場に長期的な安定性と正当性をもたらすことができると述べた。
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