ビットコイン1650万円で底堅く推移、米雇用統計控え利下げ期待高まる|bitbankアナリスト寄稿
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は底堅い推移となり、5日正午時点で、1650万円周辺で推移している。
上値の重かった先週から一転して今週のBTC円は週明けから底堅い推移を繰り広げ、1600万円周辺から1650万円を窺った。2日米国時間には、米証券取引委員会(SEC)と米証券先物取引委員会(CFTC)が、取引所が一部の現物暗号資産(仮想通貨)の取引サービスを提供すること禁止しないとする共同声明を出したことで、相場は1650万円の回復に成功した。
一方、週央からの相場はアルトコイン主導で失速。4日には米ナスダックが仮想通貨購入を目的に資金調達を行う企業(仮想通貨財務戦略(Digital Asset Treasury = DAT)企業)に対する監視を強化する方針と報じられ、DAT企業株価の下落につれて1630万円台まで下落した。
ただ、この日は米国の雇用関連指標が軒並み悪化したことで、FRBによる利下げ期待によりBTCは反発し、1650万円を僅かに回復している。
BTCはゆっくりと戻りを試す展開となり、ドル建てでは11万2000ドル手前と、先週指摘した11万7000ドルのターゲットには届かなかった。しかし、本日(9月5日)は8月の米雇用統計を控えており、結果次第では同水準まで戻す可能性があるとみている。
FF金利先物市場は9月のFOMCでFRBが利下げに踏み切る可能性を90%以上織り込んでいるが、10月と12月に関してはそれぞれ57%と49%の確率で追加利下げを見込んでおり、8月の雇用統計が労働市場の継続的な減速を示せば、年内最大で3回の利下げを織り込みにいくだろう。
年内3回の利下げ観測は、7月の米卸売物価指数(PPI)が上振れたことで後退しており、改めて利下げサイクル継続が織り込まれれば、BTC相場には支援材料と指摘される。
ただ、7月の雇用統計のような大幅な下振れサプライズにも警戒が必要と指摘される。8月は結果として雇用統計後に史上最高値をつけたBTCだが、発表直後には景気への懸念から一時的に下落していた。
反対に、雇用者数のある程度の上振れは相場に大きな影響を与えないとみている。8月の非農業部門雇用者数は7.5万人の増加が予想されているが、直近一年の平均月間雇用者数は+12.8万人となっており、この水準を超えなければ労働市場の減速懸念は拭えないと指摘される。
また、来週9日に米労働統計局から発表される今年3月までの1年間の雇用に関するベンチマーク改定にも注目したい。来週はインフレ指標の発表も控えているが、1年間の雇用統計が大幅に下方修正される可能性もあり、労働市場の下振れリスクが市場で一層フォーカスされる機会となり得る。
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