Bitwise責任者が語る「米国のビットコインETFと既存金融への影響」|WebX2025
大型Web3カンファレンス「WebX 2025」で25日、「変革の波:ビットコインETFと既存金融のビットコイン進出の影響」をテーマとしたパネルディスカッションが開催された。米国ビットコインETFのローンチがもたらした市場構造の変化と日本市場への示唆を議論した。
タイトルは「変革の波:ビットコインETFと既存金融のビットコイン進出の影響」。登壇したのは以下のメンバーである。
Dowling氏は、2024年1月の米国ビットコイン現物ETFローンチについて「本当にドアオープナー(売れることが容易に想定される商品)だった」と評価した。
同氏によると、投資手段がなく参入をためらっていた多くの潜在的投資家がいた。ファイナンシャルアドバイザーが管理する資金がビットコインにアクセスできるようになり、これが大きな転換点となった。
「製品がローンチされた後、機関投資家はデューデリジェンスプロセスを開始した。彼らは投資家に対する受託者責任があり、投資家に対する責任を果たすため、600もの質問を含む徹底したデューデリジェンスプロセスを経る必要があった」とDowling氏は説明した。現在も機関投資家資本の新たな波が市場に続々と参入しているという。
Cahill氏は「ビットコインの歴史は、教育とアクセスを中心に展開してきた」と発言。既存のインフラとアカウントを使ってビットコインにアクセスできることの重要性を強調した。「これは資本市場におけるビットコインの恒久的な場所を作り出した」と述べ、その意義を強調した。
次にDowling氏は米国における規制環境の変遷について説明した。
同氏によると、初期のSECはビットコインを「消えることを望む」ネガティブな存在として捉えていたが、ゲンスラー政権下では、暗号資産企業の銀行取引や製品ローンチを困難にし、不利な税制を課そうとするなど、より敵対的な環境へと変化したという。
「現在の新政権とSECの新たなリーダーシップの下で、デジタル資産に対する見方に根本的な変化が起きている」とDowling氏は述べた。現在、デジタル資産の市場構造を規定する法案について議会との対話が進行中であり、資産の定義や分類に関する協力体制が構築されているという。
ビットコインETF承認の転換点となった訴訟について、Dowling氏は「他の発行者による訴訟がSECにこの問題への取り組みを促した画期的な瞬間だった」と振り返った。同氏によると、Bitwiseは数年間にわたるSECとの対話において、約500ページに及ぶ研究資料を提供してきたという。
モデレーターのDhingra氏は、日本でもビットコインETFの承認を真剣に検討していることに言及し、ハッキングリスクや責任の所在が日本での議論の焦点となっていることを指摘した。
これに対しCahill氏は「日本は、ETF製品へのアクセスがないにもかかわらず、高度に発展した資本市場を持つ稀有な存在だ」と述べた。「規制されたチャネルを通じてアクセスできないとき、小売投資家は別の方法でアクセスを得ることになる。それは必ずしも投資家保護につながらない」と警告した。
Dowling氏は、米国が8年かけて達成したプロセスについて「他国はすでにETFを持っていたので、それらの事例を議会に示すことができた」と述べ、日本も米国を含む各国の事例を参考にできるとの見解を示した。
今後の展開について、Dowling氏は現物決済とステーキング機能の追加を挙げた。「欧州ではすでに現物決済とステーキングが実現している。米国でも現物決済が認められ、ステーキングについてもSECが反対していないことを表明している」と説明した。
ただし、ステーキングには税務上の複雑さがあり、「ETFの信託構造の税務ステータスに影響する可能性がある」ため、現在財務省にガイダンスを求める動きがあるという。
Cahill氏は「時間の経過とともに各国の規制が標準化され、ETFの枠組みに包まれた、より洗練された金融商品が登場するだろう」と予測した。
Cahill氏は長期的な展望として「将来的には、より多くの資産がトークン化される」と述べた。「ブロックチェーンの基盤技術は明らかに優れており、投資家として安全性と透明性を高めることができる。規制当局も投資家もそれを歓迎している」と説明した。
さらに「ETF自体がトークンだ。ETFを持つということは、ビットコインそのものではなく、ビットコインのトークン化されたバージョンを持つということだ」と指摘し、今後さらに多くの資産のトークン化が進むとの見方を示した。
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