アルトコインを保有する上場企業一覧|ETH・SOL・XRPなど主要銘柄別に分析
ここでは、実際にアルトコインを財務資産として活用している企業の中から、代表的な動きを紹介します。
BitMine Immersion(ビットマイン)は、もともとビットコインマイニング企業でしたが、2025年6月末、戦略的にイーサリアム(ETH)保有に舵を切りました。わずか35日間で833,137 ETH(約45億ドル)を取得し、現在では企業としては世界最大のETH財務資産を保有しています。:
この動きにより、BitMineは企業として最大のETHホルダーに躍り出たのみならず、仮想通貨財務資産では企業全体で世界第3位(ストラテジー、およびマラ・ブロックチェーンに次ぐ形)となりました。
さらに株式市場においても注目され、日々の平均取引高は16億ドルに達し、米国全上場企業の中で42位にランクされています。また、著名投資家ビル・ミラー3世、ARKインベスト、著名投資家ピーター・ティール系ファンドなど複数の著名投資家からの支援を獲得し、信頼性と戦略の正当性が裏付けられています。
同社は今後、ステーキングによる収益化も計画中であり、ETH保有を単なる資産保有ではなく、企業の資本運用戦略として機能させる意図が明白です。
関連: 米ビットマイン、イーサリアム保有額4500億円超
SharpLink Gaming(シャープリンク)は、米ナスダック上場のテクノロジー企業で、スポーツベッティング関連のソフトウェア開発を手がけています。2025年春から夏にかけて、ETHを財務資産の中核に据える「イーサリアム・トレジャリー戦略」を発表し、世界で最も注目されるETH保有企業の一つとなりました。
同社の戦略は、単なる価格投機ではなく、「ETHを次世代の資本管理・デジタル経済の基盤」として捉える長期的な方針に基づいています。会長にはイーサリアム共同創業者ジョセフ・ルービン氏が就任。
2025年5月〜8月にかけて、私募(約4.25億ドル)とATM調達(約4.13億ドル)を通じて約6.7億ドルを調達し、段階的にETHを買い増し。累計52万ETH以上(約3,000億円相当)を保有し、企業としてのETH保有量では世界第2位(2025年8月3日時点)。
保有ETHの99.7%以上をステーキングまたはリキッドステーキングに活用。2025年6月2日〜7月11日の間に415ETH相当の報酬を獲得し、年率5%以上の利回りを実現しています。
また、ETH保有量と発行済株式数をもとにした独自のKPI「ETH Concentration(1000株あたりETH)」も導入。この指標は6月の2.00から、7月には2.46へと上昇し、投資家にとってのETHベースの企業価値を可視化する役割を果たしています。
この指標の値が高いほど、株価がETH価格の上昇に連動しやすく、仮想通貨市場への間接投資として魅力的になる可能性があります。
この戦略は、BTCを大量に保有するMicroStrategy社になぞらえ、「イーサリアム版マイクロストラテジー」として株式市場でも注目を集めています。
さらに、Consensysとの提携強化や、ETHのスマートコントラクト技術をiGaming(オンラインギャンブル)分野に応用する構想など、ブロックチェーン活用による事業変革も視野に入れています。
一方で、SharpLinkもリスクについて自認しており、ETH価格の変動リスクや、US GAAP基準での損益反映、仮想通貨・ギャンブル領域の規制対応などに注意を払っています。
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もう一つの例は、カナダの投資企業「SOL Strategies」(旧:Cypherpunk Holdings)です。
この企業は、かなり早い段階から仮想通貨に注目しており、2019年にはビットコインを保有しはじめ、のちにイーサリアムやモネロなどを経て、現在はソラナ(SOL)に特化した財務戦略を採用しています。
特徴的なのは、保有だけでなくバリデータとして自社でソラナネットワークに参加し、報酬を得ている点です。2025年6月末時点では、約39万SOLを保有し、その多くをステーキングに活用。報酬利回りは最大で年7%台と、高い資本効率を実現しています。
また、同社は米国SECにForm 40-Fを提出し、NASDAQへの上場準備を進めているなど、株主向けにも「ソラナへの間接的投資手段」としての存在感を高めています。
3社に共通するのは、「単なる保有」ではなく、以下のような観点でアルトコインを財務戦略に本格的に組み込んでいる点です。
特にステーキングやノード運営による安定収益は、企業にとってアルトコインを“運用可能な資産”として扱う時代の到来を象徴しています。
アルトコインを保有する企業の株式は、価格上昇局面において仮想通貨以上のリターンを生む可能性があります。しかし一方で、その戦略には特有のリスクも存在します。特にETHやSOLといったアルトコインは、BTCと比べて市場成熟度や流動性が低く、 価格変動・制度リスク・バリデータ依存 など、複合的なリスクを伴います。
たとえばSharpLink社は、イーサリアムを財務・収益・事業改革のすべてに活用する積極的な戦略を採っていますが、一方で以下のようなリスクを自ら明示しています:
アルトコイントレジャリー企業は、将来性や収益性の高さが注目される一方で、事業構造と財務戦略が密接に結びつくため、価格や規制の影響を受けやすいという側面を持ちます。投資家としては、短期的な成長性だけでなく、これらのリスクにも目を向けたうえで、冷静に判断する必要があります。
イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は、ETH国庫企業の成長を支持する一方で、「過度にレバレッジされたゲーム」になることへの強い 警戒感 を示しています。
ブテリン氏が最も懸念するのは、以下のような連鎖的な価格下落シナリオです:
ETH価格の下落
→
強制清算の発生
→
さらなる価格下落
→
市場の信頼性失墜
「3年後に目が覚めて、国庫企業がETHの破綻につながったと言われたら、その理由は間違いなく過度なレバレッジによるものだろう」と同氏は警告しています。
ただし、ブテリン氏は現在の投資家層への信頼も表明しており、「我々が話しているのは、(2022年に崩壊したTerraブロックチェーンの創設者)Do Kwonの妄信者ではない」として、今回のETH国庫企業に関わる投資家は、過去の投機的な失敗とは異なる、より理性的な判断ができる層であるとの期待を示しています。
本記事では、イーサリアムやソラナといったアルトコインを戦略的に保有する企業について、その背景や株式投資としての魅力、リスクまでを幅広く解説してきました。
マイクロストラテジーやメタプラネット、BitMineなどのように、仮想通貨を財務の中核に据える企業は年々増加しており、株式市場でも新たな評価軸として定着しつつあります。
特に日本では、ビットコインやイーサリアムの現物ETFがまだ承認されていない状況下において、
関連企業の株式に投資することが「間接的な仮想通貨エクスポージャー」を得る手段
として注目されています。
さらに、株式投資であれば税制面や取引環境においても一定の優位性があり、仮想通貨に不慣れな方でも比較的安心して始めやすいという利点があります。
「仮想通貨には興味があるけれど、直接の投資には少し抵抗がある」 「株式投資の延長(証券会社の口座資金)で、Web3分野にも触れてみたい」
そのような方には、仮想通貨を保有する企業への投資から始めることをお勧めします。段階的なアプローチとして、
基礎段階: 日本や米国の時価総額が大きなビットコイン・トレジャリー企業の銘柄分析から開始
発展段階: アルトコインを保有する企業の調査・分析へとステップアップ
このように段階的に進めることで、仮想通貨投資に対する理解が深まり、より適切な投資判断ができるようになるでしょう。
ただし、仮想通貨関連株への投資は投機的な性質から価格変動(ボラティリティ)が非常に大きいため、
ことが推奨されます。
今後、企業による仮想通貨の保有動向や財務戦略は、株式投資における重要な判断材料としてますます注目されることでしょう。
投資で成功するためには、AI(人工知能)やWeb3・仮想通貨業界などの最新トレンドを継続的にキャッチアップし、他の投資家に先駆けて有用な情報を入手・分析することが重要です。そして何より、ご自身のリスク許容度や投資目標に適したアプローチを構築することが欠かせません。
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