民主党幹部、審議中の仮想通貨法案めぐり「金融危機招くリスク」と警告
米民主党幹部のマキシン・ウォーターズ議員は14日付のMSNBCへの論説で、今週下院で審議予定の複数の主要暗号資産(仮想通貨)関連法案が、「何百万ものアメリカ人家庭を大規模な詐欺と経済的破綻の危険に晒すことになる」と警告した。
これらの仮想通貨法案は、イノベーション推進の規制枠組みの確立と、消費者と投資家の保護につながると支持者は主張しているが、実際は「仮想通貨業界が業界のために作成したものだ」とウォーターズ氏は批判。中でも「CLARITY法」と「GENIUS法」は、「規制を極力少なくし、執行を最低限に抑え、消費者保護を弱め、業界の統合を進めようとしている」と主張し、過去の失敗した立法を引き合いに出し、同様の混乱を招く恐れがあると警鐘を鳴らした。
例えば、1999年に商業銀行と投資銀行の垣根を取り払ったグラム・リーチ・ブライリー法は、「イノベーションの名の下、銀行、証券会社、保険会社の巨大金融”スーパー”へ統合することを可能にし」、2008年の金融危機を引き起こす一因となったと同氏は指摘。しかし、富を築いた「イノベーター」は税金で救済され、「利益を私有化し、損失を社会化した」と批判した。
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さらに、これらの法案には「米国大統領による前例のない仮想通貨関連の汚職を正当化し、合法化する」という「特別に危険で意図的な欠点」があるとウォーターズ議員は指摘。トランプ大統領とその家族は「怪しげな仮想通貨ベンチャー」を通じて巨額の富を築いていると非難した。
ウォーターズ氏は、民主党が大統領の権力濫用を抑制するための修正案を提出したのにも関わらず、共和党はそれを全て否決したと指摘した。
トランプ一族は、大統領の公式ミームコイン「TRUMP」の発行や、DeFiプロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」によるステーブルコイン「USD1」の発行、ビットコインのマイニングなど、仮想通貨ビジネスに深く関わっている。仮想通貨に友好的な規制環境は、同一族の事業を利することになることから、トランプ大統領の利益相反に懸念の声が上がっている。
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ウォーターズ議員は、ステーブルコイン規制を定める「GENIUS法」とデジタル資産市場の明確化を図る「CLARITY法」はともに、消費者保護が不十分であると指摘した。
CLARITY法は「証券取引委員会(SEC)に足かせをはめ、詐欺から積極的に人々を守ることを妨げる」と主張。企業が既存の証券法の回避可能な抜け穴を作り、証券市場を弱体化させると批判した。
GENIUS法も同様で、消費者保護が脆弱な上に、コミュニティへの再投資義務や第三者ベンダーの監督、州や海外でライセンスを取得したステーブルコイン発行者に対する監督も弱いため、詐欺や差別のリスクが高まると指摘した。
また、同氏は両法案には国家安全保障上のリスクもあると主張。銀行秘密法の執行を弱めるもので、特に分散型金融(DeFi)が、幅広く監督から免除されることに懸念を表明した。また、GENIUS法は外国資本の仮想通貨への参入を容易にし、外国からの影響を受ける可能性が危惧されるとした。
さらにウォーターズ議員は、両法案は、仮想通貨が掲げる金融の民主化とは対照的に、ウォール街やビッグテックの支配を強化し、小規模なイノベーターを締め出すもので、大手金融機関や仮想通貨企業に市場の独占を許すことにつながると強調。「これらの法案が成立すれば、アメリカは最終的に初の仮想通貨金融危機に直面することになる」と締め括った。
14日に始まった米議会の「仮想通貨週間」だが、15日には下院での採決手続き動議の否決により、主要法案についての審議が、足止めされている。
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