仮想通貨は今でも「やめとけ」?損失回避のカギとなる4つのリスクと対策
「暗号資産(仮想通貨)=危険」という先入観は依然として根強く残っています。激しい価格変動やセキュリティ事故などのネガティブなニュースが注目を集めがちですが、適切な知識と対策があれば、そのリスクは十分に管理可能です。
本記事では、暗号資産投資を始める前に理解しておくべき4つの主なリスクと、それらに対する実践的な対策をわかりやすく解説します。初心者から中級者まで、安心して暗号資産に取り組むための基礎知識をご紹介します。
ビットコインを中心とする仮想通貨市場は500兆円規模(2025年5月時点)に拡大し、企業や機関を含む多くの投資家が参入しています。しかし、依然としてセキュリティ侵害による盗難事件も依然として発生しているのが現状です。
国内だけでも、過去に以下のような大規模なハッキング事件が発生し、相場や投資家に影響を及ぼしました。
海外では、大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの経営破綻(2022年)など、業界全体を揺るがす事件が相次いで発生しています。これらの事件により、仮想通貨市場全体の信頼性やセキュリティ体制に対する懸念が高まっています。
一方、国内で仮想通貨の不正流出事件が発生した場合、金融庁の定めるガイドラインに従って補償が行われます。
例えば、DMMビットコインで発生した不正流出では、全ユーザーに対して被害額の全額を補償する方針を発表し、カスタマーサポート体制の強化も実施されました。
ただし、海外取引所だと国内規制の適用外となるほか、過去には補償が不十分だったケースも存在するため、取引所選びの際は安全性や補償体制についても事前に確認することが重要です。
日本では2017年4月に「暗号資産法(改正資金決済法)」が制定されました。この法律により、金融庁に登録された仮想通貨交換業者には、以下のようなセキュリティ体制の構築が義務付けられています。
2022年のFTX Japanの破綻事例では、法律に基づき業者資産と顧客資産の完全分離が行われていたため、破綻後も顧客資産が全額返還されました。こうした事例を踏まえると、海外取引所よりも日本国内の金融庁登録業者を利用することが、セキュリティ対策として有効といえます。
また、取引所の安全性に加えて、個人レベルでも以下のような対策を実践し、大切な資産を守りましょう。
仮想通貨資産が失われるのは、悪意あるハッキングによるものだけではありません。「セルフゴックス(Self-GOX)」と呼ばれる、ユーザー自身の送金ミスによる資産消失にも注意が必要です。
仮想通貨は一度誤送金すると、基本的に取り戻すことができません。送金先アドレスを間違えると、そのまま送金が実行されてしまいます。そのため、以下のような対策を講じてセルフゴックスによる資産消失を防ぎましょう。
少し手間がかかりますが、安全に送金するためにも、こうした対策を確実に実行しましょう。
株や仮想通貨投資において特に注意すべきなのが、急激な価格変動(ボラティリティ)によるリスクです。ボラティリティは価格変動率(度合い)を意味し、価格変動率が大きいとはつまり価格の高低差が大きいということです 。
急落時に多くの投資家が陥るのが「狼狽売り」による損失拡大です。価格下落に慌てて売却した後、相場が回復した際に高値で買い戻すことで、結果的に損失が膨らむケースが頻発しています。特に仮想通貨は回復も早いため、感情的な判断による売買は避けることが重要です。
ただし、近年はビットコインについて安定化の兆しも見られます。2024年の米SEC(証券取引委員会)によるビットコインETF承認により機関投資家の参入が加速し、長期保有を前提とした投資が短期的な価格変動を抑制する効果を生んでいます。
また、米国のストラテジー(旧:マイクロストラテジー)や日本のメタプラネットなど上場企業による大量購入も市場安定に寄与しています。
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一方、ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)については、依然として高い市場リスクが存在します。特にミームコインや新興銘柄は、流動性の低さ、SNSでの情報拡散の速さ、大口ホルダーの投げ売りなどにより価格変動が激しい傾向にあります。
仮想通貨市場は情報の拡散スピードが特に早く、ネガティブな情報が広がると投資家の注文が殺到し、価格が乱高下しやすい独特な性質を持っています。
これらのリスク管理を徹底し、市場価格の変動による大きな損失を回避することが、仮想通貨による資産運用では大切です。
仮想通貨を安全に運用するためには、偽プロジェクトや詐欺などの被害に遭うリスクにも注意が必要です。仮想通貨に関連した詐欺には、いくつかの典型的なパターンが存在します。
仮想通貨はインターネット上のウォレットで管理するため、資金だけでなく個人情報の収集を目的とした詐欺が急増しています。特に巧妙化しているのが、正規の取引所を装ったフィッシングサイトやメールを使った手口で、ログイン情報を盗み取って勝手に犯罪者の口座へ送金するケースです。
また、仮想通貨は情報収集の速さが利益に直結するため、投資家が焦りやすい心理を悪用したSNS詐欺も深刻化しています。特に問題となっているのが、仮想通貨で大きな利益を上げた成功者を装い、偽プロジェクトやオンラインサロンへの勧誘、高額商材の販売などを行う詐欺手口です。
こうした仮想通貨を巡る詐欺に対応するため、金融庁や業界団体ではさまざまな対策を実施しています。
仮想通貨を使った詐欺に遭わないためには、個人での対策も欠かせません。まず重要なのは、有益な情報があった際に、その情報を金融庁の警告リストなど信頼できる別の情報源で検索し、本当に信頼できる内容なのかを検証する習慣です。
また、SNSやインフルエンサーが発信している情報を鵜呑みにせず、「絶対儲かる」「今だけ限定」などの甘い言葉や焦燥感を煽る表現には冷静に対処することが大切です。
これらの対策をまとめると、以下の3つのポイントになります。
この3つのポイントを徹底し、詐欺を回避して安全な仮想通貨投資を行いましょう。
仮想通貨投資初心者の中には、税金に関する不安を抱える方が少なくありません。
このように心配される方も多いでしょう。仮想通貨の税制で重要なのは、株式投資とは異なる仕組みを理解することです。
つまり、仮想通貨投資では利益が出た段階で税金分を別途確保しておき、翌年3月の確定申告期限までに自分で申告・納税を行う必要があります。この点を理解して適切に管理すれば、税務上の問題を避けて安全に投資を続けることができます。
仮想通貨で得た利益は「雑所得」に区分され、給与所得などと合計した年間の総所得額によって所得税の税率が決まります。
【所得税の速算表】
上記の所得税に加えて住民税が一律10%かかるため、よく「仮想通貨の最高税率は55%」と言われます(最高所得税率45%+住民税10%)。
重要なポイント: 税率は給与所得と仮想通貨利益の合算で決まりますが、実際の追加納税は仮想通貨利益分のみです(給与所得分は既に源泉徴収済みのため)。
上記のシミュレーション(給与所得500万円の会社員のケース)では、仮想通貨利益に対する実際の税負担は利益の30~35%程度となります。
重要なのは、利益が出た時点でこの割合を税金用として別途保管しておくことです。給与所得の税金は既に天引きされているため、仮想通貨利益分のみ追加で納税する必要があります。
仮想通貨の取引で適切な税務管理を行うには、以下の対策が効果的です:
仮想通貨の所得は、利益から損失を差し引いた金額が課税対象となります。日々の取引記録を正確に保持することで、確定申告時の混乱を避け、効率的な税務処理が可能になります。
現在の仮想通貨税制は、給与所得との合算による累進課税や自分での確定申告が必要など、株式投資と比べて複雑な仕組みとなっています。しかし、業界団体は株式投資と同様の「一律20%課税+損失繰越」制度を要望しており、金融庁も制度の見直しに前向きに取り組んでいます。
この税制改正が実現すれば、これまで説明してきた複雑な税率計算や税金分の事前確保といった手間が大幅に軽減され、より多くの投資家が仮想通貨投資に参入しやすくなることが期待されます。
関連: 仮想通貨税制改正「いつから?」申告分離課税・金商法適用の影響、注目点まとめ
「仮想通貨(投資)は危険」というイメージは、市場の初期段階や過去の混乱期に起因しています。
2025年現在では、多くのグローバル企業や機関投資家が戦略的に仮想通貨を保有し、金融ポートフォリオの一部として位置づけています。本記事で解説した4つのリスク(セキュリティ、価格変動、詐欺、税制リスク)は確かに存在しますが、基本的な知識を身につけ、適切な対策を講じることで、暗号資産(仮想通貨)ならではのリターンを享受可能です。
重要なポイント:
過去数年間の世界的なインフレや円安により銀行預金の価値が目減りする中、ビットコインなどの仮想通貨は分散投資や資産形成の新たな選択肢として注目を集めています。また、将来的な税制改正により、現在の複雑な税務手続きが簡素化される可能性も高まっています。
初めての方は、信頼性の高い国内取引所を2〜3社選び、投資可能な範囲の少額から始めることをおすすめします。実際に取引しながら理解を深めていくことが、長期的な資産運用への最良のアプローチです。
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