中東情勢緊迫化の中ビットコインに底堅さ、機関投資家の資金流入が下支えに
イスラエルとイランの軍事衝突をめぐり、両国の攻撃対象がエネルギーインフラに拡大したことで、世界の金融市場にも影響が広がっている。
イスラエルは前週末、イランの首都テヘラン近郊の石油貯蔵所も標的にした。これに対しイランも14日夜に石油関連施設への報復攻撃を実施し、世界最大のガス田があるブシェール州でも被害が確認された。
特に懸念されるのはイラン高官がホルムズ海峡の封鎖を警告したことだ。同海峡は世界の原油輸出の20%以上が通過する戦略的要衝であり、封鎖されれば国際的なエネルギー物流が完全に麻痺する可能性がある。
これを受けて原油先物価格が急騰し、エネルギーコストの急騰によりインフレ再燃の懸念が強まった。トランプ大統領がパウエルFRB(米連邦準備制度)議長に求めている利下げの可能性が遠のく可能性もあり、インフレ指数の上昇圧力は株や仮想通貨などリスク資産にも逆風と言える。
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その一方、週明けの暗号資産(仮想通貨)市場では、一時急落したビットコイン( BTC )が1BTC=105,800ドルまで反発した。
SoSoValueデータによると、少なくとも反映済みの12日までのデータではビットコイン現物ETFへの資金流入は堅調に推移している。
現在、ビットコイン現物ETFには1日あたり8,631万ドルの純流入が続いており、総純資産は1,302億ドルの規模に達している。この時点でのビットコイン価格は106,788ドルで推移しており、ETFへの資金流入が堅調な相場を下支えしている状況が確認できる。
今年6月に入ってからの資金動向を見ると、緑のバーで示される流入が安定的に続いている。特に注目すべきは、5月後半の大幅な資金流入の勢いが6月初旬まで継続していることである。日次で約8,600万ドルという流入額は、機関投資家による継続的な買い圧力を示しており、市場の健全性を表す重要な指標となっている。
このような安定した資金流入は、ビットコイン市場にとって複数のポジティブな影響をもたらしている。まず、総純資産が1,300億ドルを超える規模まで拡大したことで、ETF市場としての流動性と安定性が向上している。また、継続的な買い圧力により、価格の下方リスクが軽減され、10万ドル台での価格安定に寄与していると考えられる。
現在の日次流入ペースが維持されれば、月間では約26億ドルの資金流入が見込まれ、これはビットコイン市場全体の需給バランスに大きな影響を与える規模である。機関投資家による長期的な投資姿勢が確認できる状況であり、今後の価格形成において重要な支持要因となることが期待される。
機関投資家の投資意欲は旺盛だ。ブラックロックのiShares Bitcoin ETF(IBIT)が、運用開始からわずか341日で運用資産700億ドルを突破し、ETF業界史上最速記録を樹立した。先週は純投資額約11億ドルを記録し、5月下旬の調整局面から回復している。
この急成長の背景には、これまで消極的だった機関投資家の本格参入がある。ブルームバーグ・インテリジェンスの調査では、投資アドバイザーがスポット・ビットコインETF全体の約20%にあたる210億ドル相当を保有しており、この割合は来年には倍増する可能性が高いとされている。現在約1,200の機関投資家がIBIT株を保有しているという。
BitwiseとVettaFiの調査によると、ファイナンシャルアドバイザーの約5人に1人が2025年に投資家口座に仮想通貨を配分する予定で、これは前年比2倍の割合となっている。長年の金融アドバイザーであるリック・エデルマン氏は、慎重なポートフォリオでも最低10%、積極的な口座では最大40%をデジタル資産に配分するよう推奨している。
ブルームバーグのETFアナリストであるエリック・バルチュナス氏が公開した13F報告書データで、投資アドバイザーがビットコイン現物ETFの最大保有者となっていることが判明した。
投資アドバイザーの保有額は100億ドルを上回る規模に達し、2位のヘッジファンドマネージャーの約70億ドルを大きく上回っている。保有者には証券会社、政府機関、銀行、年金基金など多様な機関投資家が名を連ねており、仮想通貨投資に慎重だった伝統的金融機関の本格参入が鮮明になっている。
バルチュナス氏は、現在13F提出者がビットコインETF総資産の20%を占めているが、ウェアハウス(大口保管業者)からの更なる採用により35-40%まで拡大する可能性があると予測している。
トランプ政権の仮想通貨に友好的な政策とビットコインの堅調な価格推移により、機関投資家の姿勢は根本的に変化しつつある。昨今では日本や海外の上場企業が財務戦略の一環として、ビットコインを大量購入する事例も相次いでいる。
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