ビットコイン暗号化への影響は? グーグル研究で暗号解読に必要な量子ビット数が激減
Googleの量子コンピューター研究チームは21日、RSA暗号の解読に必要な量子ビット数を大幅に削減する新手法を発表した。研究者のクレイグ・ギドニー氏によると、2048ビットRSAキーの解読が100万個未満の量子ビットで1週間以内に可能になるという。(現行のハードウェアでは実現できない点も。)
この成果は2019年の同チームの推定値から20倍の削減を実現している。従来は2,000万個の量子ビットが必要とされていたが、アルゴリズムの改良とエラー訂正技術の向上により大幅な効率化を達成した。
量子ビット数削減の要因は主に2つの技術革新にある。計算アルゴリズムでは近似剰余演算を採用し、モジュラー指数計算の処理速度を2倍に向上させた。エラー訂正では論理量子ビットの密度を3倍に高め、マジックステート培養技術で量子演算の効率を改善している。
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現在最強とされるIBM製量子コンピューター「Condor」は1,121量子ビット、Google「Sycamore」は53量子ビットの性能に留まる。実用的な暗号解読には程遠いが、技術進歩の軌道がビットコイン保有者に重要な示唆を与えている。
ビットコインはRSAと類似した数学的原理に基づく楕円曲線暗号を採用している。Googleの研究成果により、仮想通貨のセキュリティが想定よりも短期間で脅かされる可能性が高まっている。ビットコインの256ビット暗号はRSAより強固とされるが、量子コンピューターの指数的な性能向上を踏まえると、楽観できない状況にある。ただし、短期的なリスクは低いと見られている。
資産運用大手ブラックロックもこの量子脅威を深刻視している模様。同社はビットコインETFの公式書類に量子コンピューター技術の進歩がビットコインネットワークの暗号化を無効化するリスクを新たに明記した。書類では「量子コンピューターがビットコインの暗号を破り、悪意のある攻撃者がウォレットを侵害し株主に損失をもたらす可能性がある」と警告している。
米国標準技術研究所(NIST)は2030年以降に脆弱なシステムの廃止、2035年以降の使用禁止を推奨している。Googleは暗号技術の専門家と協力し、量子耐性暗号への移行準備を進めており、ビットコイン業界も対応策の検討が急務となっている。
実際、4月にはビットコイン開発者が量子コンピュータによるリスクに備え、古いアドレスから安全なウォレットへの強制的な移行案を提案し、議論を活発化させている。
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