ビットコイン急騰、米国債格下げと州法により"安全資産"化|仮想NISHI
*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
仮想通貨ビットコイン( BTC )は、史上最高値となる10万9,000ドル付近まで上昇している。米国債の格下げを契機として米国の信用力に対する懸念が台頭し、ドル安が進行した。これを受け、無国籍資産であるビットコインは相対的な優位性を増し価格上昇につながっている。
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直近のビットコインの価格推移は、他のアセットクラスと相関関係において変化を強めている。計測期間2か月における相関係数を見ると、かつては0.8以上と高い相関を示していた米国株価指数(S&P500)との相関が現在では0.44まで低下している。一方で、安全資産である金(ゴールド)との相関係数は+0.55に上昇しており、かつて逆相関であった関係が逆転した(下画像赤矢印)。
これらの動きは、ビットコインがリスク資産から安全資産へと市場の認識が移行しつつあることを示唆するものである。加えて、ボラティリティも低下傾向にあり、市場の安定感が増している点も注目に値する。
オプション市場においては、プットコール・レシオ(PCR)が低下傾向を示しており、市場参加者の強気姿勢が強まっている(下画像黄矢印)。特に、10万5千ドルから12万ドルの価格帯において建玉が急増しており、ビットコイン価格の更なる上昇を織り込む動きが顕著となっている(下画像赤枠)。
5月に入って以降、ビットコインは上昇局面を迎えている。米国の複数の州において仮想通貨に好意的な法案が相次いで成立していることから、仮想通貨への認識の変化を通じて市場心理の好転につながっている。加えて、ムーディーズ・レーティングスによる米国債の格下げが、米財政の不安定性に対する懸念を増幅させたことで、ビットコインは金と並ぶ「無国籍かつ安全な資産」としての認識に変化しつつある。
さらに、5月27日から開催される「Bitcoin2025」カンファレンスにおいて、バンス米国副大統領による基調講演が予定されている。仮想通貨に対する政府の積極的な政策発表への期待感も、現在の市場を支える重要な材料となっている。
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