「仮想通貨の規制整備が最優先課題」SEC新委員長アトキンス氏が就任宣誓で明言
トランプ大統領に指名され、4月9日に米上院で承認されたポール・アトキンス氏が21日、正式に第34代米国証券取引委員会(SEC)委員長に就任した。ホワイトハウスで執り行われた就任宣誓式でアトキンス氏は、新SEC委員長としての最優先事項は、デジタル資産の強固な規制基盤を提供することだと述べた。
宣誓式でトランプ大統領は、アトキンス氏を「暗号資産(仮想通貨)の革新者らが切望している規制の確実性と明確なルールの実現に向け、SECを率いるのに最適の人物」と紹介。同氏が「SECの武器化に終止符を打ち、バイデン政権下で行われた不法な執行行為を止めるだろう」と期待を寄せた。
アトキンス氏は宣誓後の挨拶で、同氏自身の舵取りでSECの新たな時代が始まることに自信を持っていると主張。「SECは、これまでの迷走に終止符を打ち、議会が定めた中核的な使命である投資家保護、公正で秩序ある効果的な市場と資本形成という基本に立ち返るときだ」と述べた。
具体的には、「投資家を詐欺から守り、証券法や規制の適用に政治を持ち込まず、米国人の利益のために経済への投資を奨励する明確なルールを進めていく」と強調した。
アトキンス氏は、米上院の指名公聴会で、仮想通貨に関する規制が曖昧であり、実際には規制が存在しない状況が、市場に不確実性を与え、イノベーションを阻害していると指摘していた。
アトキンス委員長は、「米国が投資やビジネスを行う上で、世界最高かつ最も安全な場所であることを保証する」ために、SECが尽力すると約束した。
アトキンス氏のSEC委員長承認と就任が遅れたのは、同氏の資産に最大600万ドル(約8億5,000万円)の仮想通貨関連投資が含まれていたためと言われている。
しかし、ゲンスラー前委員長退任後、仮想通貨に関するSECの方針転換は、マーク・ウエダ委員長代理の下、着実に進行中だ。1月には、「新たな仮想通貨規制のアプローチを再スタートする」としてヘスター・パース委員率いる仮想通貨タスクフォースが設置された。
このタスクフォースはすでに2回の円卓会議を開催しており、規制アプローチ全般について証券の定義や法改正の必要性についての協議や、仮想通貨取引の規制についての話し合いを行なってきた。25日には、第3回目の会議が予定されており、仮想通貨のカストディについて議論が交わされる。
また、バイデン政権下の「執行による規制」のアプローチにより、コインベースやリップルなど数々の主要仮想通貨企業が提訴され、対応に苦慮させられてきたが、新体制下では訴訟取り下げが相次いでいる。規制の不確実性が排除される着実な第一歩であり、業界はこれを仮想通貨の将来にとって大きな転換点になると見ている。
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アトキンス委員長の初仕事として期待されているのは、仮想通貨の上場投資信託(ETF)申請の審査だ。ブルームバーグETFアナリストのエリック・バルチュナス氏によると、現在SECには72件の仮想通貨関連のETF(主に現物ETF)が承認を待っている。
申請されているETFには、XRP、ライトコイン、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)といった主要L1銘柄だけでなく、ペンギン、メラニア・トランプ関連のミームコインの2倍レバレッジ型など多岐にわたる銘柄と商品が含まれている。
このような仮想通貨ETF申請の急増について、ブルームバーグETFアナリスト、ジェームズ・セイファート氏は、発行企業が、さまざまな商品をローンチしてSECの新体制を見極める「スパゲッティ砲的アプローチ」をとっていると説明した。
アトキンス委員長率いる新体制のSECが、多様なETFにどのような判断を下すかに注目が集まっており、米国の規制の方向性の試金石になると見られている。
SECはすでにグレースケールによるXRPおよびドージコインのETF申請を正式に受理しているが、法定期限である240日以内に審査と決定を行う義務があり、アトキンス委員長の就任が承認プロセスを加速するだろうとの期待が高まっている。
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