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「仮想通貨は正当なポートフォリオ分散手段」 機関投資家のアプローチに大きな変化=シグナム

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スイスを拠点とするデジタル資産銀行 Sygnum(シグナム)は、世界の機関投資家を対象とした最新の調査結果をまとめたレポートを発表した。「未来の金融レポート2025」と題したレポートで、同行は機関投資家の暗号資産(仮想通貨)に対する意識および投資戦略の変化、資産配分や参入障壁、市場の見通しなどを解説した。機関投資家は、仮想通貨を投機ではなくポートフォリオの有効な分散投資手段とみなしていることが明らかになった。

第3四半期後半に実施されたこの調査は、世界の43カ国、1,000人以上の機関、プロ投資家や企業、および富裕層(投資可能資産1,000万米ドル超)が対象とされた。

回答者の89%はすでに仮想通貨に投資しており、48%の回答者がポートフォリオの10%以上を仮想通貨に配分している。このうち、ポートフォリオの50%超を配分しているのは23%、20〜50%を配分しているのは15%だった。

85%がレイヤー1トークン(ビットコイン、イーサリアム、ソラナ等)を保有し、50%がステーブルコインを保有。dApps(分散型アプリ)トークンを保有しているのは39%だった。また、債券やファンドなどのトークン化資産の保有割合は前年比で6%上昇し26%となったが、新たなトークン化商品の提供がトレンドを後押ししているとみられる。

仮想通貨に投資する理由としては、「ポートフォリオの分散効果」が57%でトップになり、昨年の調査でトップだった「仮想通貨のメガトレンドへのエクスポージャー」の53%(昨年は62%)を上回る結果となった。シグナムは、仮想通貨がもはや投機的対象ではなく、戦略的な分散資産として位置づけられていることを示唆していると指摘した。

一方で仮想通貨の長期的な成長への期待も依然として強く(53%)、市場拡大の可能性に対する信頼が、この資産クラスへの投資継続の支えとなっていると付け加えた。

また、45%の投資家が「安全資産・マクロヘッジ」として仮想通貨を保有しているが、その背景には財政不安や地政学的リスク、法定通貨への信頼低下があると主張。ブラックロックのラリー・フィンクCEOや国際通貨基金(IMF)、ドイツ銀行などの著名金融機関の発言がビットコイン=デジタルゴールドという見方を強化していると述べた。

仮想通貨を「新しい代替資産クラス」とみなす割合は、28%まで減少していることから(一昨年44%、昨年31%)、多くの投資家にとって仮想通貨が主流の資産クラスとして定着しつつあるとシグナムは見ている。

このような投資家意識の変化は、仮想通貨とブロックチェーンに関する理解度が全体的に上昇したことの影響が大きい。回答者の78%が高い知識レベルを持つと回答(前年比+6%)。仮想通貨関連企業の代行投資が2%未満に減少していることから、伝統的な投資家の理解も進んでいることがうかがえる。特に富裕層投資家では、知識レベルについて83%と回答しており、プロ運用担当者が75%で続いた。

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回答者の61%が仮想通貨への配分拡大を検討し、そのうちの55%は短期的に強気な見方を示している。その背景にはETF承認やアルトコイン需要、規制改革などの追い風があるとシグナムは解説した。

ただし、投資のタイミングについては約20%が未定で、3分の1以上は現状維持を選んだ。調査が行われた第3四半期末時点では、アルトコインETFの承認増加やデジタル資産市場明確化法案の進展などが前提とされていたが、いずれも実現されていない。さらに10月には市場環境が悪化するなど、依然として多くの不透明要素があり、投資家心理に影響すると見られている。

投資方法としては、仮想通貨を直接保有する方法が最も一般的(回答者の3分の4以上)で、ステーキングやレンディングの利用など、資産を柔軟に活用できるメリットがある。

ETP/ETFの重要性も高まっており、昨年の47%から56%に上昇した。ビットコインやイーサリアムETFへの資金流入が強いが、機関投資家での成功や新規ETF承認待ちの状況から、パッシブ投資やマルチアセット商品への関心が高まっている。

ETFでは、回答者の81%がビットコインやイーサリアム以外の仮想通貨ETFに前向きな姿勢を見せている。中でもソラナETFが最も注目されており、54%が配分を検討。その背景にはイーサリアムの競合的な地位と、オンチェーン活動・ステーブルコイン取引量の増加がある。

また、仮想通貨ETFにステーキング利回りが組み込まれた場合、約70%の回答者が配分を拡大すると回答している。特にイーサリアムのステーキングETFへの関心が高まっており、承認されれば、機関投資家によるイーサリアムETFへの資金流入を促進し、ビットコインETFとの明確な差別化にもつながる。

ただし、新規ETFが同等の需要を得られるかは不透明で、19%の回答者は主要通貨のみで十分と考えている。

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第3四半期末時点では、第4四半期に向けた投資家のセンチメントは非常に強気で、回答者の半数以上がポジティブな見方を示し、4分の1が強い確信を持っていると報告していた。

しかし、この見方は更なる仮想通貨ETFの承認の米国の規制の進展などの要因に基づいているとされていたが、まだ実現していない。さらに、第四半期開始からの市場状況は悪化しており、10月10日には史上最高の清算が行われた。

そのため、年内には投資家の信頼感が低下し、センチメントは中立から弱気に転じ、「非常に強気」は10%まで落ち込む見込みだとシグナムは指摘した。

一方、長期的(2~5年)には、センチメントは強気に転じる見込みだ。伝統市場との統合や機関投資家の参入増加を背景に、回答者の大多数が新たな強気サイクルを予想している。

こうした期待は、AIなどの急速に拡大する産業に関連している可能性がある。AI分野では、コンピューティング技術やスケーラブルなデータインフラの進歩が、次世代の分散型プロトコルやトークンモデルの形成に影響を与える可能性があるためだ。

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